Uberドライバーへのチップという厄介な話


Uberはこれまで、ホームページなどで「ドライバーへのチップは不要」と説明していたが、これからはチップを払うのが普通になりそうだ。

Uberのヘルプページより
Uberのヘルプページより

これはUberのドライバーは正社員か請負かという問題にも関係している。この問題をめぐってカリフォルニア州とマサチューセッツ州で集団訴訟が起こされていたが、The Wall Street Journalなどによれば、このほどドライバーを請負とする方向で和解が成立した。

これは会社側にとって勝利となる和解だが、請負として整理する代わりに総額1億ドルの補償金を支払うほか、ドライバーの労働条件を改善するための措置も講じることになった。

その一つとして、これまでドライバーは乗客にチップを要求してはならないことになっていたが、これが緩和されることになり、これからは車内に「料金にはチップが含まれておりません」との掲示をしてもよいこととなった。この掲示があるということは、チップを払えということだ。

そもそも、Uberが「ドライバーへのチップは不要」としていたのは、料金にはドライバーへのチップが込み、またはドライバーには十分な報酬を支払っているから、ということだったはずだ。

だから、Lyftと違ってUberのアプリには、UberTAXIは別として、料金にチップを上乗せする仕組みにはなっていない。

それが最近になって、ドライバーの待遇が悪いことに対する不満が高まり、十分な報酬をもらっていないことが顕在化し、正社員か請負かの議論にも発展していた。

結局会社側は、乗客からはチップ込みの料金を徴収しながら、そのチップをドライバーには支払っていなかったということだ。

このような状況が明らかになってからは、ドライバーにチップを払おうと呼びかける意見もチラホラ見かけるようになった。例えばこの投稿のように、そのような呼びかけをしているのはおそらくドライバーが大半ではないかと思われる。

ただ、最近のオンデマンドサービスはアプリですべての支払いができるので、現金を持ち歩かなくても済むというメリットがあるが、Uberでチップを払うとなると現金を持ち歩かないといけなくなるという不便が出てくる。そのせっかくのメリットがなくなるので、チップには反対との意見も出ている。

基本的にはアメリカはチップ社会だから、何かサービスをしてもらったらチップを払うのが普通だ。それなら「チップ不要」などと書かなければいいのにとも思うが、「チップ不要」ということは、チップを払っても払わなくてもいいということであって、払ってはいけないというわけではない。払えば大抵のドライバーは喜んで受け取るはずだ。

TechCrunchは、「つべこべ言わずにチップを払え」との強硬な意見を掲載している。

チップ社会では建前上チップは強制ではないとされているが、ほとんど強制のようなものだ。払うべきところで払わないと、気まずくなったり嫌われたりする。

特にUberなどのアプリでは乗客がドライバーを評価することができるが、逆にドライバーが乗客を評価することもできる。チップを払わなかったり少額だったりすると乗客としての評価が下がり、次からは乗車拒否される恐れも出てくる。

チップは厄介な存在だ。