3.固定通信事業の動向

◆日本のブロードバンドサービスの契約数

 2008年9月17日、総務省が発表した「ブロードバンドサービスの契約数等(2008年6月末)」によると、FTTH(光ファイバー)の契約数が、DSL(メタル回線)の契約数を初めて上回った。
  FTTHは、前年比約35%増の1308.5万契約、DSL は前年比約11%減の1229万契約となっている。ブロードバンド全体では、前年比5%増の3309万契約となっており、全体に占めるFTTHの割合は45%となっている。
 都道府県別にみると、関東圏や近畿圏を中心とする 15の都道府県では、FTTHの占める割合が最も高く、FTTH率の最も高い滋賀県では59.7%、次いで京都 53.9%、東京52.5%となっている。
 また、他の固定系ブロードバンドサービスでは、 CATVが前年比7%増の396万契約、FWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)が前年比5%増の1.3万契約となっている。

 

◆光ファイバーサービスの動向

 光ファイバーを用いた公衆回線網で、上り/下りともに最大1Gbpsの通信速度を実現するインターネット接続サービスが注目されている。  この背景には、LANの技術要素であるGigabit Ethernetを応用し、電話局から家庭までEthernetのフレームをそのまま送受信することを可能とした技術開発がある。従来、この区間ではATM方式を利用していたため、変換などにより、速度が100Mbpsに制限されていた。
  NTT東・西は、次世代ネットワーク(NGN)において、これまでのベストエフォートサービスに加え、上記技術を利用した広帯域で品質確保機能(QoS)が利用可能な多彩なサービス(「フレッツ光ネクスト」「ひかり電話」等)を、2008年3月31日から提供開始した。
 また、KDDIは、「ひかりoneホーム」において、ADSL並みの低料金で1Gbpsの通信を実現するサービス「ひかりoneホーム『ギガ得プラン』」を、2008年 10月1日から、関東エリアと北海道の一部エリアで開始した。家庭向け1Gbpsサービスは、東日本地域では初のサービスである。「ひかりoneホーム」は、主に一戸建てを対象に、ネット・電話・TVのトリプルプレイを提供するサービスである。

 

◆固定電話の加入契約数減少

 2008年11月14日、総務省が発表した「電気通信サービスの加入契約数等の状況(2008年9月末)」によると、加入電話、ISDN、IP電話を合わせた固定電話全体では、前年同期比1.5%減の6840.6万契約となっており、引き続き、減少傾向を示している。
 加入電話とISDNの加入契約数の合計は、前年同期と比較して、7.4%減の4936万加入と、5000万加入を切っており、契約数のピークであった1997年度末の 6285万契約と比べて、21.5%の減少となっている。
 一方、減少する固定電話の中で、IP電話は増加傾向にあり、2008年9月末のIP電話の利用数は、前年同期比18.2%増の1905万件となっている。これは、固定通信全体の約28%である。特に、FTTHやCATVをアクセス回線に使った0AB-J系IP電話は、前年同期比 60.6%増の951万件と大幅に増加している。

 

◆IPv4アドレスの枯渇対応

 2008年9月5日、総務省と関連13団体で組織する「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」が発足した。 JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)によると、約43億個あるIPv4アドレスのうち、現在、未分配のアドレス空間は39ブロック(1ブロックは約1677万アドレス)。しかし、現況の利用傾向から考察し、2010年~2011年までにすべてが分配されると予測している。
 タスクフォースは、IPv4アドレスの枯渇に適切に対応するため、また、エンドユーザーに混乱を与えないために、その手段の中で最も有力なIPv6移行を円滑化し、課題検討、広報啓発、人材育成の進捗管理を、官民一体で推進している。
 現在、タスクフォース参加団体は、IPv6普及・高度化推進協議会、財団法人インターネット協会、次世代 IX研究会、情報通信ネットワーク産業協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人電気通信事業者協会、財団法人電気通信端末機器審査協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会、社団法人日本ケーブルテレビ連盟、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター、日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ、日本UNIXユーザ会、WIDEプロジェクトの13団体である。

 

◆KDDI、中部テレコミュニケーション(CTC)を子会社化

 KDDIは、2008年4月1日、中部電力株式会社が保有する中部テレコミュニケーション株式会社(CTC)の株式の80.5%を取得し、CTCを連結子会社とした。
 CTCは、中部5県に構築した光ファイバーネットワークおよびインターネットデータセンターにより、コンシューマ向けの光ファイバーインターネットサービス、法人向けのネットワークソリューション等を提供している。
 KDDIは、CTCを子会社化することにより、顧客基盤・インフラなどのCTCが築いてきた事業基盤を生かし、中部地区における通信事業のさらなる展開を図っていく。サービス面においても、KDDIの割引サービス「auまとめトーク」の対象に、CTCの「コミュファ光電話」を加えるなど、CTCとKDDIの既存サービスの融合も開始している。

 

◆KDDI、次期VPNサービスを発表

 KDDIは、今後、拡大が見込まれるデータセントリック(情報資産集中化) の多様なニーズに対応する、次期法人向けネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」を、2009年7月1日に提供開始すると発表した。
 同サービスは、企業の情報資産に対する管理強化・保護の必要性が高まっていることから、情報資産を自社で持たずに、データセンター事業者に預ける市場ニーズに対応するもので、データセンターとお客様拠点間の通信量増加に伴う拠点間を接続するネットワークのパフォーマンス向上に資するものである。 
 主に、以下の2つの機能を提供する。

 ①トラフィックフリー機能   1本のアクセス回線内で、データセンター向けの通信と拠点間通信を論理的に識別・分離。データセンター向けの通信に該当するものは、拠点側の契約品目にかかわらず、LANインターフェースの速度を高速化(バースト) 可能にし、ネットワークパフォーマンスを向上させる。KDDIデータセンター以外の提携データセンターも対象となる。

 ②プラグイン機能  レイヤー3で提供されるブロードバンド(フレッツ)網に、KDDIが提供する専用アダプターを接続して、レイヤー2トンネリングを実現。レイヤー2とレイヤー3のネットワーク混在によるルーティングプロトコルの制限やネットワーク設計の複雑さを解消し、1つの仮想的なレイヤー2ネットワークとしてシンプルな運用を可能にする。

 本サービスは、レイヤーの異なる複数のネットワークを仮想的に統合し、あたかも1つの広域スイッチとして利用可能とする「広域仮想スイッチ」という新しい概念のネットワークサービスである。

 

◆「グローバルICTソリューション」の強化

  ICT分野におけるグローバルな顧客サポートのため、次の活動が行われた。  KDDIは、ロシア最大の長距離通信事業者であるロステレコムと共同で建設した日本~ロシア間光海底ケーブル(RJCN)の運用を、2008年9月に開始した。RJCNは、日本~ ロシア間を接続する大容量(640Gbps)光海底ケーブルネットワークで、ロシア横断光波長多重ネットワークとのシームレスな接続により、日本~欧州間を最短ルートで結ぶことができるため、日欧間でこれまで以上に高品質で信頼性の高い通信サービスを提供することが可能となった。
 NTTコミュニケーションズも、2008年7月に、ロシアの通信事業者であるトランステレコム社と、日本~ロシア間光海底ケーブル(HSCS)を利用した日本~欧州間を結ぶルートの運用を開始している。
 また、KDDIは従来、グローバルな活動拠点の拡充を図っているが、2008年にワルシャワ、モスクワ、 2009年1月にはドバイに海外拠点を新設した。これにより、KDDIの海外拠点数は合計61となっている。
 さらに、KDDIグループは、日本国内および海外で広く展開するデータセンターのブランドを、2008年10月から「TELEHOUSE」に統合した。KDDIは、1989年から欧米で、TELEHOUSEブランドによるデータセンター事業を展開しており、顧客も欧米企業を中心に約1200社に及ぶなど世界有数の規模を有し、高い知名度を得ている。2009年3月1日には、フランス・パリ郊外に「TELEHOUSE PARIS Magny」を、同年4月1日には韓国ソウルに「TELEHOUSE SEOUL」を開設している。
 KDDIは、TELEHOUSEをコアとして、ICTソリューションのグローバルな展開を図っている。