2.移動通信事業の動向

◆携帯電話の高速ブロードバンド化の動向

 総務省は、2009年6月10日、3.9世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画に関する、携帯電話事業者5社の申請をすべて認定した。
認定要件として、各社は、下り100Mbps超の実現を目指す3.9世代移動通信システムである「LTE(Long Term Evolution)」、または40Mbps以上の実現を目指す3.5世代移動通信システムを高度化したシステムである「DC-HSDPA(Dual Cell–High Speed Downlink Packet Access)」により、認定の日から5年以内に、各総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む)の管轄区域内の人口カバー率が50%以上になる計画を有する必要がある。各社の希望周波数帯、サービス開始時期は次表のとおり。

イー・
モバイル
NTTドコモ ソフトバンク
モバイル
モバイル
希望
周波数帯
1.7GHz帯
(DC-HSDPA,
LTE)
1.5GHz帯/
2GHz帯
(LTE)
1.5GHz帯
(DC-HSDPA)
2GHz帯(LTE)
800MHz帯/
1.5GHz帯
(LTE)
サービス
開始時期
2010年9月 2010年12月 2011年7月 2012年12月

 現在、各社は、3.5世代移動通信システムによる高速ブロードバンド化を進めており、イー・モバイルは、 HSDPAに続いてHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)、さらにHSPA+を導入して、2009年8月に最大下り2 .6Mbps/上り5.8Mbpsに、 NTTドコモは、HSDPAに続いてHSUPAを導入して、2009年6月に最大下り7.2Mbps/上り5.7Mbpsに、ソフトバンクモバイルは、HSDPAにより、2008年月に最大下り7.2Mbps/上り384kbpsに高速化した。また、KDDI/沖縄セルラーは、EV-DO Rev. A(CDMA2000 1xEV-DO Rev.A)により、2006 年12月に最大下り3.1Mbps/上り1.8Mbpsに、さらに2010年後半にはマルチキャリアRev.A方式を導入し、最大下り9.3Mbps/上り5.4Mbpsに高速化する計画である。

◆携帯電話における無線LAN機能、フェムトセル導入の動向

 携帯電話事業者各社は、ユーザー宅内等におけるサービス改善を目的として、携帯電話端末への無線 LAN機能の搭載、フェムトセル超小型携帯電話基地局の導入を進めている。
KDDIは、2009年6月19日、無線LAN機能を搭載した対応端末向けに、固定ブロードバンド回線につながった自宅の無線LAN親機を経由して、EZwebを含むインターネットへの接続を可能にするサービス「Wi-Fi WIN」を提供開始した。また、2010年夏の提供開始に向けて、2010年3 月より、「auフェムトセル」のトライアルを開始している。登録した端末のみ利用可能のため、多数のユーザーが使う既存基地局と比べ、混雑の影響を受けにくく、通信速度の向上が見込める。
ソフトバンクモバイルは、2009年11月20日、無線LAN機能を搭載した対応端末の発売に合わせて、同様に自宅の無線LAN親機経由によるほか、公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」を経由して、ソフトバンクモバイル公式サイトを含むインターネットへの接続を可能にするサービス「ケータイ Wi-Fi」を提供開始した。
NTTドコモは、2008年6月19日より、同様に自宅の無線LAN親機を利用する、無線LAN機能を搭載した対応端末向けサービス「ホームU」を提供してきたが、これに加え、2009年11月18日、多くのFOMA端末機種が対応可能なフェムトセル超小型携帯電話基地局をユーザー宅内の固定ブロードバンド回線につなげて提供するサービス「マイエリア」を提供開始した。

 

◆携帯電話デザインの動向

 携帯電話市場では、デザイナーズケータイや高級ブランドとのコラボレーションケータイの投入が相次ぎ、市場を賑わした。
デザインへのこだわりやライフスタイルに寄り添った商品への期待が広がりつつある中、KDDIは、2009年4月7日、新ブランド「iida(イーダ)」を立ち上げた。ブランド名の「iida」は、「innovation」「imagination」「design」「art」の頭文字を取ったもので、外部のデザイナーやクリエイターとコラボレートし、暮らしをデザインする携帯電話や充電器などの周辺アイテムを継続的に提供している。
また、NTTドコモは、2009年冬春モデルにおいて、有名ブランドの「Folli Follie」や「Samantha Thavasa」などとのコラボモデルを発売した。ソフトバンクモバイルは、2009年9月18日、韓国Sumsung 電子製の「EMPORIO ARMANI」モデルを発売した。一方、フィンランドNokia傘下の高級携帯電話ブランド「Vertu(ヴァーチュ)」は、2009年2月19日に銀座に旗艦店をオープンさせ、9月1日よりコンシェルジュサービスを開始した。日常的なものに芸術性と個性を持たせ、高級時計と同じレベルに高めようとする狙いから、宝石類などの装飾に加え、利用者がコンシェルジュに電話をかけ、さまざまな情報を受け取れるサービスを提供している。
海外では、韓国LG電子から腕時計型や透明なキーパッドを装着した携帯電話が、また韓国Pantechからはデュポンと提携した「S.T.Dupontフォン」などが登場し、話題になった。

 

◆携帯電話への動画配信の動向

 KDDIは、2006年9月、番組配信サービス「EZチャンネルプラス」を開始し、音楽やニュースなどのオリジナル番組を、決まった曜日の深夜から早朝にかけてau携帯電話に一斉配信している。さらに2008年6月、映画やドラマを携帯やPCで視聴できるサービス「LISMO Video」を開始。2009年12月からは、アニメやドラマなど映像コンテンツのファイルサイズが最大10MBの高画質ビデオの配信をEZ公式サイトで開始した。同社の映像コンテンツ配信サイト「LISMO Video Store」では、2009年12月17日より高画質ビデオの配信を行っている。
一方、NTTドコモは、2009年4月10日、エイベックス・エンタテインメントとの合弁会社「エイベックス通信放送」を設立し、携帯電話専用放送局「BeeTV」を5月1日に開局した。「BeeTV」では、ドラマや音楽、バラエティなどのオリジナル番組を制作し、NTTドコモのiモード向け動画サービス「ドコモ動画」でオンデマンド配信している。配信中の番組は、月額315円で見放題となる。
ソフトバンクモバイルは、2009年5月19日、スポーツ情報や芸能ニュースなどを動画で簡単に楽しめるサービス「選べる簡単動画」の本格提供を開始した。11ジャンル・40コースから2コースまで無料で選択でき、動画が更新・追加されるごとに届くお知らせメールの画像をクリックするだけで視聴できる。

 

◆携帯電話への電子書籍の広がり

 米アマゾンは2007年11月、通信機能を備えた電子書籍端末「Kindle(キンドル)」を米国で発売し、 2009年10月19日より日本を含む世界100カ国以上でも販売を開始した。
2009年12月現在、「Kindle」は、「Kindle Store」にある39万点以上の電子書籍(小説やコミックなどを携帯電話やパソコン、専用端末などで閲覧できるようデータ化した書籍)のほとんどを9.99ドル以下で直接ダウンロードできる。米国では、ソニーが同年12月、3G通信機能を搭載した電子書籍端末「Readers Daily Edition」を、バーンズ&ノーブルが同年11月にグーグルの携帯向けOS「Android」搭載の電子書籍端末「nook」を発売した。また、2010年1月27日には、アップルがタブレット型端末「iPad」を発表し、電子書籍市場への本格参入を表明した。「iPad」は電子書籍リーダーソフト「iBooks」を搭載し、同社の電子書籍ストア「iBookstore」にアクセスして書籍をダウンロードすることができる。
一方、日本では、インプレスR&D発表によると、 2008年度の電子書籍市場規模は464億円と推計され、そのうち携帯向け電子書籍市場は402億円と、電子書籍市場全体の86%を占めている。アマゾン「Kindle」やソニー「Reader」の日本語版の展開は未定だが、日本の電子書籍市場も広がりつつある。
KDDIは、2009年6月19日、電子書籍ビューア「Book Player」を搭載した携帯電話「biblio(ビブリオ)」を発売した。読書に最適なモデルとして、約3.5インチフルワイド液晶や、大容量の書籍も保存できる約7GBのデータフォルダを搭載している。また、ソフトバンクモバイルは、同社の携帯電話で無線LANを利用するサービス「ケータイWi-Fi」向けに(株)ヤッパの電子書籍配信ソリューションを採用し、電子書籍への対応を強化している。