5.ワンポイント解説

◆MIMO/OFDM

 「MIMO」「OFDM」は、LTE(Long Term Evolution)やモバイルWiMAXにおいて安定した高速通信を実現するために利用されている無線通信技術である。
マルチアンテナ技術の「MIMO」(Multiple-Input Multiple-Output)は、複数のアンテナを使い、異なる信号を同じ周波数帯の電波に乗せて同時に伝送する。データの送受信を並行して行うことで、通信速度の高速化や安定化を図ることができる。
一方、「OFDM」(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)は、帯域幅当たりの伝送速度向上と、マルチパス干渉(受信側のアンテナに複数の電波が到達し、互いに干渉し合う現象)の防止の両立を狙ったデジタル変調方式で、無線LANや地上デジタル放送などに用いられている。複数のデジタル信号を互いに干渉することなく密に並べられることから、狭い周波数帯を効率的に利用した広帯域伝送を実現し、周波数の利用効率を高めることができる。

 

◆エリアワンセグ

 エリアワンセグとは、2006年から既にサービス提供されている、携帯端末向けの地上デジタルテレビ放送「ワンセグ」の技術を用い、配信エリアを限定して独自の映像コンテンツなどを配信するサービスをいう。エリアワンセグでは、UHF帯の中で既存の地上デジタルテレビ放送に影響を及ぼさないチャンネルを使い、主にワンセグ機能を有する携帯電話端末向けにサービスが提供される。
エリアワンセグは、駅や空港での観光案内、美術館や博物館での展示品紹介、店舗でのクーポン提供など、映像、音声およびデータ放送を利用した多様な情報をワンセグ端末向けにピンポイントに配信する。サービスとして、今後の展開が期待されている。
エリアワンセグは今のところ、実験サービスの位置づけであり、今後、正式なサービスとして運用していくための議論が進められることになっている。

◆ライフログ

 ライフログとは、「Webの閲覧、電子商取引の購買情報、位置情報などの利用者のネット内外の活動履歴(行動履歴)が、パソコンや携帯端末等を通じて取得・蓄積された情報」と定義される。近年、さまざまな事業者が、これら取得・蓄積された利用者情報から分かる利用者自身の属性情報、趣味・趣向等を基に、利用者の利便性を高めたサービスを提供している。
例えば、NTTドコモが提供する「iコンシェル」は、取得した利用者のプロファイルや現在位置情報などを基に、その状況に適った情報を利用者に提供している。また、Googleは、利用者のWeb上の行動履歴を基に、利用者の興味・関心に応じた広告を提供する「行動ターゲティング広告」を展開している。
これらのサービスは、利用者の利便性を高める可能性がある一方で、個人情報の蓄積や利用が伴うことから、社会的受容性や法的リスクの観点から、総務省などを中心として、個人情報を活用したサービスの在り方等について慎重な議論が行われている。

◆プローブ情報

 プローブ情報とは、自動車から得られるさまざまな情報、例えば、渋滞などの道路交通情報、ワイパーの動きから得られる天候情報、ブレーキの操作から得られる燃費情報等を指し、これらの情報を収集し、整理・分析することで、これまで得られなかった道路交通情報を生成するのが「プローブ情報技術」である。
これまでは、主に道路に設置された発信機により、渋滞情報などがドライバーにフィードバックされるVICS(Vehicle Information and Communication System)が知られていた。しかし、プローブ情報技術を活用すれば、自動車一台一台をセンサーとして活用することで、実際に走行する自動車から、広範囲かつタイムリーなドライブに関わる有用な情報が、日本各地のドライバーへフィードバックすることができる。
現在、プローブ情報は、大手自動車メーカー、カーナビメーカー等を中心に、それぞれのサービスプラットフォームにおいて、さまざまな情報が提供されている。また、携帯電話向けにも、タクシー会社等との連携により、タクシーのGPS無線配車システムと連動した道路交通情報をユーザーに提供するサービスも開始されている。

 

◆グリーンデータセンター

 グリーンデータセンターとは、電源設備や空調設備の効率化や自然再生エネルギーの利用などにより、省エネ化した環境配慮型のデータセンターを指す。
地球温暖化への対策が求められる中で、ICTへの期待は大きい。ICTを活用してモノの製造や人の移動などの実際のリアルな活動をネットワーク上で代替したり、業務効率を高めることで、CO₂の排出量を抑制することが可能となる。こうした対応を「Green by ICT」という。しかし、その一方で、そうしたICT化の推進によりICT自体のCO₂排出量が増大することが懸念されている。そこでICT自体のCO₂排出量をいかに抑えるかについてもさまざまな取り組みが進められている。これを「Green of ICT」という。
グリーンデータセンターもGreen of ICTの取り組みの一つである。データセンターの総電力量のうち、同センターに収容されるICT機器の電力量よりも、センター内の電源設備や空調設備のほうが多いといわれる。データセンターの需要が高まる中で、環境に配慮しつつ同設備を利用するには、グリーンデータセンターが必須となる。

 

◆デジタルサイネージ

 デジタルサイネージ(Digital Signage)とは、現在、街中のビルの壁面、スーパー、コンビニ、電車、エレベーターなどのさまざまな場所に設置され、商品広告、映画やTVの予告などを表示することで、新たな広告メディアとして注目を集める映像ディスプレイのことである。
デジタルサイネージの映像の提供方式には、スタンドアロン型とネットワーク型の二つの型式がある。スタンドアロン型は、表示する映像コンテンツを個々のディスプレイ端末に保存して運用するもので、ネットワーク型は、通信ネットワークを利用して、時間、場所に応じて最適な情報や映像を配信するものである。現在のところ、その普及はスタンドアロン型が中心だが、デジタルサイネージが本来の力を発揮するのはネットワーク型といわれており、高速大容量配信を可能とするWiMAXやLTEなどの新たな通信網の普及と相まって、今後の展開が期待されている。

 

◆新検索エンジン「Walfram|Alpha」(ウルフラム|アルファ)

 「Walfram|Alpha」(「ウルフラム|アルファ」)とは、米ウルフラム・リサーチが開発した質問応答システムである。ユーザーが入力した質問に対して、その答えを返答するという形式で情報が得られる新しいタイプの検索エンジンであり、Googleの対抗馬として注目が集まる。
「ウルフラム|アルファ」が注目されるのは、人の言葉で投げかけられた質問に対してそれを理解・解釈して回答するという点である。例えば、「mobile phone」と入力すると、世界全体の保有台数のほか、国別保有台数の上位・下位ランキング、および保有台数に応じて世界地図上に国ごとに色分けされ、さらには、年間販売台数の高低分布なども表示される。
Googleのようにデータベースから回答を探すのではなく、「ウルフラム|アルファ」自身が計算し、回答を作成する点が革新的といえる。なお、2009年5月15日からネット上で一般公開されているが、日本語には対応していない。(2010年1月末日現在)

◆AR(Augmented Reality:拡張現実)

 ARとは、「Augmented Reality」の略称で、人間が五感を通じて得られる情報に対して、「ヘッドマウントディスプレイ(専用めがね)」などを用い、そこにコンピュータなどから得られる情報を重ね合わせることで、五感から得られる情報量を拡大したり、状況判断、行動判断の決定に役立てたりする技術の総称をいう。「拡張現実」とも呼ばれる。
AR技術は、既に携帯電話のサービスにも用いられており、auで提供される「実空間透視ケータイ」やソフトバンクのiPhoneで提供される「セカイカメラ」が注目を集めた。
「実空間透視ケータイ」や「セカイカメラ」は、携帯電話に搭載されるカメラやGPS、加速度センサー、電子コンパスを用いて、ユーザーの現在位置に基づいた仮想空間をディスプレイに表示するものである。これにより、ユーザーは、あたかも現実世界が拡張したかのように、携帯電話を通じた拡張現実を楽しむことができる。
AR技術は、道路交通情報、観光情報の提供といった身近な分野や、高度な応用例としては、医療分野など、今後の展開が期待されている。

 

◆ツイッター

 ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの要素を持ち、 行程度の簡単な文章をWeb上に書き込むサービスがミニブログである。パソコンや携帯電話などからWeb上に気軽にメッセージを投稿し、コミュニティの中でリアルタイムに情報を共有できる。SNSが友人間のコミュニケーションを濃くしていく一方で、ミニブログは、濃いコミュニケーションを嫌い、もっと気軽にコミュニケーションをとりたいという利用者の要望により登場した。
ミニブログの代表的なサービスとして「ツイッター」があり、「What’s Happening? (今どうしている?)」という質問に対して 40文字以内でつぶやき(ツイート)を投稿していく。個々のつぶやきには固有のURLが付与され、設定を変更しなければ誰でも見ることができる。また、ツイッターには、 「フォロー」という他の利用者を友人のように登録する機能がある。他の利用者をフォローすると、その利用者のつぶやきを自分のサイトに表示させることができる。

◆スマートグリッド

 スマートグリッドとは、「スマート(賢い)」な「グリッド(電力網)」のことで、情報通信技術(ICT)を駆使して、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網のことである。
スマートグリッドは、米国オバマ政権のグリーンニューディール政策の柱であり、2009年2月17日に成立した「米国再生・再投資法」においては10億ドルもの景気対策予算が組まれ注目を浴びることとなった。米国では老朽化した送電設備が多く、停電が頻繁に起こるため、スマートグリッド導入効果は高いと見られている。一方、日本の送配電線網は、すでに「賢い」といわれており、安定供給に関するシステムは他の先進国に比べて群を抜いている。停電対策よりも太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能な新エネルギーの導入のために推進される日本のスマートグリッドだが、仕組みづくりには新エネルギー分野に関連する多くの企業の協力体制が必要になる。