5.ワンポイント解説

◆ネットTV

 ネットTVとは、インターネット接続に対応したTV機器やサービスの総称である。
近年、TV受像機の高機能化の一環としてインターネット接続が普及してきたこと、また米国のインターネットサービスであるNetflix(DVDコンテンツ配信)やHulu(地上波TVコンテンツ配信)などをパソコンではなくTV受像機で視聴する形態が広まったことなどにより、米国を中心にネットTVという概念が注目を集めている。
ネットTVの利点は、地上波やケーブルテレビなどの放送サービス(放送番組)とインターネット上のUstream、YouTubeなどの各種映像サービスをTV画面で同列に視聴できることであるが、さらにTwitterやFacebookといったソーシャルメディアサービスとの連動など、さまざまな展開が可能である。
2010年にはGoogleTV(Android OSを基にしたネットTVのプラットフォームでテレビ受像機やセットトップボックスに組み込まれる)や新しいAppleTV(Apple社のセットトップボックスで、iTunesやNetflixなどのコンテンツをテレビで視聴することが可能)も提供を開始するなど広がりを見せており、今後TV機器の買い替えが進むにつれ、ネットTVは普及していくものと見込まれている。

 

◆MVNE

 MVNEとは、Mobile Virtual Network Enablerの略で、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)に対する支援サービスを行う事業者のことである。
自社で通信設備を保有している事業者MNO(Mobile Network Operator)から通信インフラを借りて、独自のサービスを提供するのがMVNOであるが、MNOとの交渉や通信端末の調達などを自社で行う必要がある。このような業務をMVNOに代わって行うのがMVNEである。
総務省は、2008年5月に「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン(MVNO事業化ガイドライン)」の再改定を行い、MNO、MVNO、MVNEの事業範囲を示している(図参照)。
同ガイドラインによると、MVNEは当面、次の2つの形態が想定されている。

① MVNOの課金システムの構築・運用、MVNOの代理人として行うMNOとの交渉や端末調達、MVNOに対するコンサルティング業務などを行う場合であって、自らが電気通信役務を提供しない場合
② 自ら事業用電気通信設備を設置し、一または複数のMVNOに卸電気通信役務を提供するなどの場合

図:MNO、MVNO、MVNEの事業範囲

出展: 総務省「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン(再改定)」(平成20年5月)

 

◆SIMカード

 SIMカード(Subscriber Identity Module)とは、携帯電話網への接続に必要な情報やアプリケーションの利用に関する情報などを記憶させたICカードの総称である。GSM(Global System for Mobile Communications)という第2世代(2G)の携帯電話方式で、初めて導入された。
SIMカードを使うことによって、携帯電話端末本体と加入者情報とを分離することができ、使用する電波の周波数や通信方式が同じであれば、一つのSIMカードで複数の携帯端末を使ったり、一つの端末を複数のSIMカードで使うことができる。また、特定のSIMカードが挿入されたときにしか動作しないように、携帯電話端末本体に制限を加えることもでき、これを「SIMロック」という。多くの場合、ユーザーの継続利用を前提とした、端末やサービスの低廉化手段として使われている。
2010年6月、総務省は2011年度以降に発売する携帯電話について、対応可能なものからSIMロック解除に努めるよう携帯電話各社に求めている。

 

◆PaaS

 PaaS(Platform as a Service)とは、ネットワーク経由でソフトウェアやアプリケーションを提供するSaaSを拡張し、ソフトウェアやアプリケーションを稼働させるための開発・実行環境(プラットフォーム)をネットワーク経由で提供するサービスである。
従来、企業は自社の業務用システムを開発・運用するために、ハードウェアやOS、ミドルウェア、開発環境などのプラットフォームを自ら用意する必要があったが、こうしたプラットフォーム一式がインターネットを通じてサービスとして提供される。
従って、ユーザーは自社でサーバーを所持することなく、ピーク時/オフピーク時、一時的なテスト環境の構築など、業務負荷に柔軟に対応したプラットフォームを必要に応じて利用することができる。
KDDIにおいても、2009年6月より、PaaS型ソリューションサービス「KDDIクラウドサーバサービス」を提供している。

 

◆裸眼3D

 2010年は冬季オリンピック、サッカーワールドカップと大きなスポーツイベントがあり、家電各社も専用メガネで見る3Dテレビを相次いで発売した。しかし、同年度上半期の3Dテレビの出荷台数は、薄型テレビの1.34%、13万1000台にとどまっており、3D元年とはならなかったようだ。
東京電力のアンケート調査によれば、3Dテレビの購入条件の第1位が「専用メガネをかけなくても見られる3Dテレビ」となっており、裸眼3Dテレビの潜在ニーズは高いものと考えられる。まだ、技術的な課題も多く、また、価格的にも高額であるが、2010年12月25日に東芝は、インテグラルイメージング方式(*1)による裸眼3Dテレビを発売し、この市場の先陣を切った。
また、小型液晶ディスプレイの分野でも裸眼3Dの搭載が進みつつあり、携帯電話では、同年12月3日にシャープ製3D液晶携帯電話(視差バリア方式(*2)、NTTドコモ)が発売され、携帯ゲームでは、任天堂が「3DS」を2011年2月26日に発売した。これらは、コンテンツが3D対応していないと3Dとして見ることができないが、今後、各分野で裸眼3Dディスプレイの搭載が進むと予想される。

(*1) インテグラルイメージング方式は、物体が反射する光(反射光)を複数方向からサンプリングし、ディスプレイによりその反射光を再現するという原理に基づいたもので、専用メガネを用いることなく、滑らかな映像表現が可能な方式。

(*2) 通常のディスプレイに「視差バリア」と呼ばれる縦縞のバリアを重ねることで、右眼には右眼用の映像、左眼には左眼用の映像を見せ、立体感を感じさせるようにしたもの。

 

◆ソーシャルメディア

 ソーシャルメディアとは、ユーザーが情報を発信することで形成していくメディアを指し、個人がインターネット上で相手を特定せずに情報発信を行い、それを閲覧したユーザーがレスポンスを返すことで双方向のコミュニケーションが生まれるという特徴を持つ。個人が情報発信する点で、テレビなどの従来の放送メディアと異なり、相手を特定せずに情報発信する点で、メールなどのコミュニケーションツールと異なる。ミニブログのTwitterや、SNSのFacebook、動画共有サイトのYouTubeはいずれもソーシャルメディアの代表例である。
口コミが人の購買行動へ強い影響力を及ぼす中、企業のマーケティングにおいても、高い口コミ効果を持つソーシャルメディアを活用する動きが盛んになっており、Twitterのアカウントを企業が運用して情報発信する事例が多く登場している。
ソーシャルメディア(主にSNS)上でゲームコンテンツを提供し、ソーシャルメディアと連携することでゲームをしながらコミュニケーションを楽しむことができるソーシャルゲームも、「怪盗ロワイヤル」や「サンシャイン牧場」などのヒットコンテンツが登場し、2010年に市場が急成長した。

 

◆ソーシャルAR

 ARとは、「Augmented Reality(拡張現実感)」の略称で、人間が五感を通じて得られる景色などの現実の情報に対して、それを表示する装置(眼前に装着できる透過型のディスプレイなど)を用い、その情報の上にコンピュータが作り出したバーチャルな情報を付加的に合成して表示する技術を指す。
従来のARは、風景中の店舗にユーザーが投稿した口コミや企業が投稿した広告が表示されるといった対物的な情報を合成する使われ方が中心であったが、最近ではARとソーシャルメディアを連携させるなど、ARにコミュニケーション要素を取り込んだ「ソーシャルAR」が注目を集めている。
例えば、ARを活用した携帯電話向けサービスの「セカイカメラ」では、プレイヤーがカフェのオーナーとなって現実の位置情報に基づいたAR空間に出店し、他プレイヤーと協力・競争しながら経営するゲームや、プレイヤーが主人公となって現実の世界を移動しながら、その位置情報に基づくAR空間に現れたモンスターを倒すゲームなどが提供されている。これらはいずれも、ARを活用したソーシャルゲームであり、ソーシャルARの一つの例といえる。

 

◆スマートシティ

 スマートシティとは、低炭素社会の実現に向け、新エネルギーの導入や電気自動車などの新たな需要に対応するために、最新のIT技術を導入し構築した電気・交通などのインフラを備えた都市である。
スマートシティの中核となる技術がスマートグリッドであり、自然エネルギー供給の増大や電気自動車の普及による電力需要の変化に対応するために、IT技術を活用して効率的に電力の安定供給を行うための技術である。
経済産業省は、2010年4月から2015年3月末を期限として、国内4地域(神奈川県横浜市、愛知県豊田市、京都府けいはんな学研都市、福岡県北九州市)を選定し、スマートシティを実現するための次世代エネルギー・社会システム実証事業に取り組んでおり、①自然エネルギーの大幅拡大をにらんだ強靭な電力インフラの構築、②ITを活用した快適さと低炭素を実現する次世代の暮らしの提示、③システムとしての海外展開(スマートシティを他国に導入)、④世界に先駆けた次世代システムに適した標準の早期作成、⑤実証から実現に向けたビジネス環境の整備を目的としている。

 

◆スマートメーター

 スマートメーターとは、電力会社などの計量関係業務に必要な双方向通信機能などを有したメーターであり、近年では、エネルギー消費量の「見える化」や家庭などのエネルギー管理機能を含む機器として注目を集めている。
スマートメーターの用途としては、電力分野における電力利用の遠隔検針のほか、電力の需給バランスの調整、太陽光などの自然エネルギーの制御などがある。さらに、ITシステムを備えた家電との連携により家庭内のエネルギーを管理し、省エネなどに結び付けるHEMS(Home Energy Management System:家庭エネルギー管理システム) への展開などが期待されている。
東京電力、関西電力、九州電力は、2008年度からスマートメーターの実証実験に取り組んでおり、中でも関西電力は、33万台のスマートメーターを希望者の自宅などに設置し、希望者に対してインターネットによるCO2排出量などの「見える化」サービスを実施している。
また、経済産業省は、2010年5月から2011年2月までスマートメーター制度検討会を開催した。そこでは、スマートメーターが持つべき機能(遠隔検針やデータを活用した省エネ、省CO2の実現)、仕様、規格や課題(HEMSとの連携や導入の経済的インセンティブ)などがテーマとされており、2011年2月に報告書が取りまとめられた。