2.ICT市場の動向

◆スマー トフォン市場の動向

 2013年度の国内携帯電話出荷台数は3,941万台であり、そのうち75.1%に当たる2,960万台がスマートフォンであった(2014年5月、MM総研調べ)。
 スマートフォンのベンダー別のシェアでは、iPhone 5s/5cを発売したアップルが48.8%を占めており、以下、ソニーモバイル、シャープ、富士通、Samsung と続く(2014年5月、 MM総研調べ)。 根強い人気のiPhoneは、これまでKDDI、ソフトバンクの2社が販売を行っていたが、2013年9月からNTTドコモも取り扱いを開始した。また、 2013年は高速通信が楽しめるLTE対応スマートフォンのラインアップが充実したこともあり、国内スマートフォン契約者総数は5,734万人(携帯電話契約者数の47%) に達した(2014年4月、 MM総研調べ)。
 OS別累積シェアでは、 Androidが57.1%、 iOSが41.8%、 その他OSが1.2%であった(2014年4月、MM総研調べ)。
 世界の2013年のスマートフォン出荷台数は10億960万台であり、初めて10億台を突破した。前年比39.2%で成長するスマートフォン市場拡大の要因として、低価格スマートフォンの普及が挙げられる。2013年に世界で販売されたスマートフォンのうち、200米ドル以下のものは42.6%を占めた(2014年2月米I DC調べ)。
 また、米Mozillaと中国チップベンダーのSpread- trum Communicationsは、2014年2月に世界最大の携帯電話関連展示会であるMobile World Congress 2014(スペイン・バルセロナ)において、Firefox OSを搭載した25米ドルのスマートフォンを提供すると発表し、注目を集めている。AppleやSamsungに代表されるハイエンドスマートフォンから低廉なスマートフォンまで、利用者のニーズに合わせた端末の普及により、スマー トフォンユーザーの裾野はさらに広がるものと見込まれる。

◆マルチデバイスの動向

 マルチデバイス(Multi Device)とは、複数の情報機器上で、同一のサービスやコンテンツを利用できることを指す言葉である。特に近年、スマートフォンやタブレット、PC、ゲーム機、テレビなど、個人が複数の情報機器を時と場合に応じて使い分けることが当たり前になっており、マルチデバイスの重要性が高まっている。
 マルチデバイスの対象となる情報機器として、スマートフォンやタブレット、スマートテレビ等が注目を集めている。タブレットはiOSやAndroidに加え、Windows搭載のタブレットも新製品が多数投入されており、ビデオリサーチインタラクティブ社の2014年2月調査によれば、日本のPCインターネット利用者(15∼69歳)のタブレット所有率は16.3%、前年同月比5.0ポイント増と順調な伸びを見せている。個人利用以外にも、営業や教育、医療などの分野での導入も相次いでいる。
 また、スマートフォンとタブレットの中間的なサイズのファブレット(Phablet、PhoneとTabletを合わせた造語)も話題となっている。明確な定義はないものの、概ね5.5インチ∼7インチで、通話機能を備えるものをファブレットと呼称しており、 KDDI、NTTドコモから提供されている。
 スマートテレビは、KDDI、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、Apple等に加え、ジュピターテレコムやGoogleも提供を開始した。ネットコンテンツ中心、多チャンネルサービス中心など、楽しみ方の幅が広がってきている。さらに、ウエアラブルデバイスなどの新しい情報機器も続々と市場投入されており、デバイスの多様化は、今後より一層進むものと見込まれている。

◆Eコマースの動向

 2012年の国内EC流通総額(サイト上での商品の販売総額)は、楽天が約1.4兆円、Amazonが約7,300億円、ヤフーが約3,000億円に成長している(2013年版情報通信白書)。
 インターネットが普及して以来、生活者の商品の認知、検討、購買に至る一連のプロセスが変化している。気になる商品を見つけると、まずネットで検索し、口コミの評価などを確認してから、実店舗に足を運んで購入するという行動パターンが増えているなど、オンライン(インターネット)の情報が、オフラインである実店舗での購買行動に影響を与えるようになった。
 こうした状況を踏まえて、オンラインで先に販促キャンペーンなどを展開し、店舗にユーザーを誘導しようとする企業が増えている。こうした販促策は、「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」と呼ばれている。これとは逆に、実店舗で気に入った商品をオフラインで調べ、より安く購入できるサイトから購入する購買行動(オフライン・ツー・オンライン)も生まれている。
 さらに進んで、実店舗やネット、カタログなど、これまで独立していた購買の手段が複合化することによって、生活者が「オンラインとオフラインを区別しなくなった」、「さまざまなデバイスとメディアから情報を得て商品を比較・想像するようになった」、「自由に店舗・Webサイト・アプリを行き来できるようになった」といった環境の変化が生じている。
 そのため、企業は、実店舗やWebサイト、SNSなど、あらゆる販売チャネルを統合して、生活者が望む形で顧客体験を提供する「オムニチャネル」戦略が必要とされるようになってきており、セブン&アイ・ホールディングスなどが取り組んでいる。
 このような動きのほかに、ヤフーは、2013年10月に「Yahoo! JAPAN」で展開する「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク!」のストア出店料の無料化や中小企業、個人が短時間で出店できる仕組みを導入し、出店数を大幅に拡大し、先行する楽天に対抗している。これに対して、アマゾンジャパン、楽天は出店者への融資制度を設けるなど、拡大する市場を巡って競争が激化している。

◆4G、LTEの普及

 LTE(Long Term Evolution)は、3G(第3世代移動通信システム)を発展させた規格として3.9Gと位置付けられていたが、国際連合の専門機関であるITU (International Telecommunication Union)が4Gと呼称することを認めており、各国の通信事業者は、LTEを4Gのサービス名称で提供している。LTEには、異なる周波数帯を用いて、上りと下りの通信を同時に行う「FDD-LTE方式」と、同じ周波数帯を用いて、上りと下りの通信を時間単位で切り替えながら通信を行う「TD-LTE方式」があり、通信事業者は許認可を受けている周波数帯に応じてこれらの方式を使い分け、または組み合わせてネットワークを構築している。
 GSA(Global mobile Suppliers Association)によると、LTEの商用サービスは101カ国の279ネットワーク(うちTD-LTEは21カ国の32ネットワーク)に拡大した(2014年3月時点)。Ericssonの2014年1月の調査報告では、世界のLTE契約者数は2億人を超え、3Gを含む総データトラフィックは前年同期比170%増となった。
 4Gとして正式にITUが定めるIMT-Advancedの規格に準拠するのは、LTE-AdvancedとWireless MAN-Advanced(WiMAX2)である。LTE-Advancedでは特定の周波数を組み合わせるキャリアアグリゲーション(CA)という技術が用いられ、広帯域化により高速な通信を実現する。例えば、 FDD-LTEの周波数帯域幅は最大20MHzであるが、 LTE-Advancedでは最大100MHzとなり、その技術を用いて、1Gbpsを超える通信速度も可能となる。2013年6月には、韓国SK Telecomが初めてLTE-Advanced(最大150Mbps)の商用サービスを開始した。
 日本国内の通信事業者の動きとしては、KDDIが2014年夏モデルからLTE-Advancedを、LTE回線上の音声通話技術VoLTEを年内に導入することを表明した。NTTドコモは2014年度のLTE-Advanced運用開始を目指しているほか、ソフトバンクモバイルも走行実証実験を行っている。

◆ウエアラブルデバイスの可能性

 ウエアラブルデバイスとは、文字どおり、“身に着けて”利用するコンピューターデバイスである。ブレスレット型、腕時計型、メガネ型など、ここ数年さまざまな製品が発表されており注目を集めている。
 ブレスレット型は、体の動きや体温、血圧、心拍数などの健康状態を記録するヘルスケアサービスとして、腕時計型は、スマートフォンと連携した通話やメッセージの補助デバイスとしての利用が中心となっている。さらに、Googleが製品化に向けて開発中の「Google Glass」のようなメガネ型は、視野に入るさまざまな情報を分析した上で、その結果等をレンズ上のディスプレーに表示し、利用者の行動をサポートすることもできる新デバイスとして、急速に注目度が高まってきている。同様のデバイスは、NTTドコモ、テレパシーなどからも発表されている。
 近年になってウエアラブルデバイスが実用化されてきた背景としては、ハードウエアの小型化・軽量化や、音声・画像・視線・動作等の認識による入力が可能となってきたことなどが挙げられる。
 ウエアラブルデバイスは、スマートフォンと連携して利用されることが多く、センサーを使って体のさまざまな情報を取得するなど、人の手による操作を不要とする工夫や技術が採用されている。今後の技術発展によって、このような特徴を生かした製品・サービスの誕生が期待される。
 その一方で、活用や実用化が進むにつれて、メガネ型デバイスなどはプライバシーの問題が提起されるなど、一定の規制や法的整備も普及に向けた重要なポイントとなっている。

◆復興支援とICT

 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、太平洋岸を中心とする東日本全域に甚大な被害をもたらした。被災地域の復旧、復興のための取り組みは、官民を挙げて進められているが、震災発生から3年が経過するも、いまだに避難者数は約26万7千人(2014年2月現在)に上り、住宅再建や産業復興にはまだ多くの時間を要する状況が続いている。
 そうした中で、総務省や電気通信事業者等を中心に、ICTを活用した復興支援が進められている。
 総務省は、2011年度から2014年度の予算を通じて、被災自治体が抱える問題解決のための被災地域情報化推進事業として、以下の事業を支援している。

① 東北メディカル・メガバンク計画
② ICT地域のきずな再生・強化
③ スマートグリッド通信インターフェース導入
④ 復興街づくりICT基盤整備事業
⑤ 被災地域記録デジタル化推進
⑥ 被災地域テレワーク推進事業

 KDDIにおいては、東日本大震災で停波した基地局のうち77%(東北6県:2011年3月12日時点)が停電によるものであったことから、災害対策の一環として「基地局バッテリーの24時間化」および通常の商用電力、太陽光発電、蓄電池の3つの電力を時間帯や天候の変化によって使い分ける「トライブリッド基地局」の設置拡大を進めている。加えて、基幹ネットワークの増強(4ルート化)やau災害復旧支援システムの導入、総務省および海上保安庁との協力による船舶に設置した携帯電話基地局の実証実験、被災地の人々の情報不足の解消や住民間のコミュニケーション支援のためのタブレット端末やフォトビジョン端末の提供など、多様な取り組みを行っている。
 併せて、2012年7月に復興支援活動の強化のために設立した「復興支援室」では、被災地の市役所や行政機関への出向活動を通じて、KDDIが持つ豊富なICT利活用の経験・ノウハウを提供しながら、地域住民の方たちと協力して被災地の復興に継続的に取り組んでいる。

◆BigData(ビッグデータ)

 クラウドや、スマートフォンをはじめとするマルチデバイスの登場によって、デジタルデータが爆発的にネットワーク上に流れ出し、その大量データを集めて瞬時に分析し、何が起きるのかを予測し、ビジネスに生かそうという、いわゆる“ビッグデータ”活用の取り組みが注目を集めている。
 ビッグデータは、膨大なリアルタイムデータを扱うことで、従来の比較的小規模なサンプルデータの収集解析では見過ごしてきた異常値に新たな光と価値を与えるとともに、さまざまなデータの間に新たな関係性を見いだし、そこから新たな知見を引き出そうというもの。
 金融、保険、政府、医療、ヘルスケア、小売・流通など多くの産業での活用が見込まれており、安倍政権では、2013年6月に「世界最先端国家IT戦略」を発表し、成長戦略の一環として、オープンデータとともにビッグデータの活用を政策の大きな柱として掲げた。世界最高水準のIT利活用社会を実現するに際して、「ヒト」「モノ」「カネ」と並び、「情報資源」は新たな経営資源となるものであり、「情報資源」の活用こそが経済成長をもたらす鍵となり、課題解決にもつながることが認識された。
 このような政策の動きに呼応するように、ビジネスにおいても、位置情報、SNSのメッセージ情報等をマーケティング等に活用する動きが活発化してきたが、その一方で、消費者からプライバシー保護に対する懸念が示される事例も見受けられるようになった。 ビッグデータの活用には、プライバシー保護とどうバランスを保つかが鍵となるが、現在、内閣府のIT総合戦略本部を中心に、プライバシー保護を念頭に置きつつ、データをより積極的に活用できるような法環境整備に向けた検討作業が進められている。2014年6月までに個人情報保護法の法改正内容を大綱として取りまとめ、2015年通常国会への法案提出を目指すロードマップが示されている。
 IoT(Internet of Things)、自動運転技術の開発、ゲノム解析等、ビッグデータを取り巻くビジネス環境は、グローバルに大きな進展を迎えようとしている。その中で、いかにしてビッグデータの解析を行う有能なデータサイエンティストを育成し、確保していくかが重要だと指摘されている。

◆IoT/M2Mの拡大

 IoT(Internet of Things)とは、モノのインターネットとも呼ばれている。従来は、主に人がパソコンや携帯電話等を介して接続していたインターネットに、あらゆるモノが接続され、モニタリングやコントロールなど、さまざまな目的に利用されることである。「機械」と「機械」が人手を介することなく、相互に通信を行うM2M(Machine to Machine)の概念はIoTの一形態であり、今後さらなる拡大が見込まれている。
 情報通信技術の進展や各種デバイスの小型化、省電力化により、従来、スタンドアローンであった「モノ」や「機械」がインターネットにつながったり、相互に通信することで、離れた「モノ」や「機械」を遠隔操作する、離れた「モノ」や「機械」の状態を容易に知ることができるようになってきている。 M2Mとして、商用車や自動販売機に組み込まれたデバイスとクラウド上にあるサーバーを、インターネットを介して接続し、運行管理や在庫管理データの収集を行うことなどが実用化されているが、今後はより広範な「モノ」や「機械」がインターネットと接続され、経済的価値を生み出すことが可能になると見込まれている。
 具体的には、照明機器やエアコン、給湯器等をインターネットに接続して状態をモニターしたり、遠隔制御を実施することが可能となる。また、自動車やヘルスケア機器等からの計測データ、センサーデータを収集することで、より細かな道路交通情報の提供、患者の健康マネジメントや治療に活用しようという動きもある。
 さらに、工場内、ビル内、店舗内、病院内、学校内や屋外等、あらゆる場所に設置、組み込まれたさまざまなセンサーからの情報を取得し、運営管理の効率化や安心・安全への取り組みに活用する試みも拡大している。
 これらにより生み出された大量のデータを効率的に分析・処理することで、新たな価値を提供することが期待されている(「ビッグデータ」と呼ばれる)。IoT/M2Mとビッグデータに関連する技術や市場は、今後も共に進展していくことになるだろう。

◆Web&Automotive

 自動車のナビゲーションシステムがクラウドにある渋滞情報を取得したり、オンラインで最新の地図のダウンロードができたり、また、米国では車内でインターネットラジオが聴けたりと、自動車がネットにつながる、いわゆる「コネクテッド・カー」が増えてきている。 スマートフォンが普及し、いつでもどこでもWebが使えるようになった今、自動車の中でもインターネット=Webを使いたいというニーズが生まれるのも自然な流れだ。
 しかしながら、パソコンにディスプレー、キーボード、マウスというインターフェースを前提にしてきたWebの技術を、 そのまま自動車にも適用するのは使い勝手もよくないし、第一危険極まりない。
 そこで、Webの利便性を自動車でも享受でき、かつ安全性も保てるような仕組みの検討が始まっている。Webの技術の標準化を行っているW3C(World Wide Web Consortium)では、2013年2月にAutomotive and Web Platform Business Groupというグループが発足し、自動車メーカーやサプライヤー、IT関連企業などが参加して、自動車の中でWeb技術を使うための標準化の検討などを開始した。自動車が持っている車速、トリップメーター、燃費などの走行情報を取得するためのインターフェースや車内のエアコンの調節をスマートフォンから行うためのインターフェースの検討が進んでいる。
 このようなインターフェースが標準化されると、いずれは、 デザイン性の優れたダッシュボードのアプリが次々と開発されたり、また、自宅のパソコンやスマートフォンから自動車の点検を行ったり、今、走っている道沿いで一番安いガソリンスタンドを案内してもらう、といったことができるようになる。
 自動車メーカーは、こうした利便性と同時に、さまざまなインターネットの脅威から安全性を確保したサービスを提供するために、現在、研究を進めている段階であり、一部の高級車から順次搭載されていくものと考えられる。

◆第3のOS

 米調査会社IDCの調査によると、2013年10月∼12月に世界中で出荷されたスマートフォンのOSは、米GoogleのAndroidと米AppleのiOSを合わせて95.7%を占め、この両者の寡占状態にあるといえる。スマートフォンを製造するメーカーは世界で数多くあるが、iOSはApple社のみであり、 これに加え、 オープンソースで誰でも無償で使えるAndroid OS以外の選択肢はほとんどなかった。
 こうした状況において、新たなスマートフォンOS を作ろうという動きを「第3のOS」と呼ぶ。「第3のOS」の中で、今最も注目を浴びているのが「Firefox OS」である。
 Firefoxとは、Mozilla Foundationで開発が行われている無料のWebブラウザのことだが、当初はサイトの情報を“見るだけ”だったWebブラウザが、今では、ショッピングやチケット予約、株取引やオンライン銀行など実用的な業務もこなせるようになってきた。以前だとパソコンのOS上でアプリケーションを動かすことで実現していたことが、今ではWebブラウザだけあれば、特別なアプリケーションをインストールする必要もなくなってきた。つまり、WebブラウザがOSの位置づけとなってきたのである。
 これをさらに進めて、Webベース(HTML5)のコンテンツやアプリケーションだけが利用できるOSとして開発されたのがFirefox OSである。すでに、スペインやポーランドでFirefox OSのスマートフォンが発売され、 日本でもKDDIが2014年中に投入することを表明している。
 「第3のOS」のもう一つの有力候補として「Tizen」がある。Tizenは、LinuxベースのOSで、スマートフォンのみならず、さまざまな機器で共通のユーザー体験を提供することを目標に開発されており、NTTドコモが開発団体の議長を務めている。NTTドコモから予定されていたTizen搭載のスマートフォンの発売は当面見送られることになったが、実質的にOSの開発を担っている韓Samsungは、すでにTizen搭載のデジタルカメラを発売し、続けてTizen 搭載のスマートウォッチも発表している。Firefox OS、Tizenのほか、2010年から出荷されているWindows Phoneや、LinuxをベースとしたUbuntu Touch、SailfishOSなども「第3」を狙って名乗りを上げている。

◆SNSの動向

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とは、インターネット上で人と人とのつながりを構築できるサービスである。代表的なサービスとして、Facebook、Twitter、mixi、LINEなどが挙げられる。写真や動画の投稿・位置情報の登録がリアルタイムで行えたり、無料で通話が楽しめたりする等、SNS とスマートフォンの親和性は高く、近年、利用者は増加の一途をたどる。
 月に最低1回はSNSにログインする人の数は、世界で16億1,000万人と推定され、5人に1人は何らかのSNSを利用している計算になる(2013年11月eMarketer調べ)。また、国内SNS利用者数は2012年末時点で4,965万人と推定され、2015年には6,000万人を超えると予想されている(2013年5月ICT総研調べ)。
 2011年6月にサービスを開始したLINEは、2014年4月に世界の登録者数が4億人を突破したと発表した。また、2012年5月のFacebookの米ナスダック市場への上場に続き、2013年11月には、Twitter がニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、それぞれ業務拡大に向けて資金調達を行っている。さらに、2014年2月にはFacebookが全世界に4億人以上のユーザー数を持つメッセージアプリ「WhatsApp」を買収した。
 SNSはメールや電話と並ぶ重要なコミュニケーションツールの一つとなっており、利用者の増加とともに、さまざまなニーズが生まれることが予想される。注目を集めるSNSサービスの一つである「Path」は、本当に仲の良い友人150人までに限定するため、人と人の居心地の良いつながりを楽しめるサービス。また、「Snapchat」は写真や動画を共有するサービスだが、一度閲覧した写真や動画は消滅してしまうのでプライバシーが保たれることが特徴だ。いずれも米国を中心に流行しているサービスであるが、日本への広がりにも注目したい。

◆MVNOの動向

 MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)は、携帯電話やPHS、BWA(広帯域移動無線アクセスシステム)などのネットワークを自社では保有せず、他事業者から借り受けることによって通信サービスを提供する事業者を指す言葉である。
  NTTコミュニケーションズ、IIJ、ビッグローブ、日本通信などのMVNOは、データ通信量や通信速度に制限がある代わりに、多様な低額プラン(例えば、月額利用料900円で1カ月600MBまで、月額利用料934円で1日40MBまで、月額利用料1,505円で1カ月2.2GBまでの3プランを利用者が自由に変更可能など)の提供を特徴としており、動画などの大容量データ通信を使用しない利用者が、スマートフォンを安価に利用する手段の一つとして注目を集めている。また、MVNO回線の利用にあたっては、SIMロックがかかっていない端末を利用者自身で用意するケースが多かったが、2013年11月には、Apple Online StoreでSIMロックフリー版のiPhone5s/5cが販売開始されたこと、2014年4月にはイオンでSIMカードと端末がセットで販売開始されたことでも話題となった。従来はNTTドコモのネットワークを利用するMVNOが多かったが、2014年5月15日には、ケイ・オプティコムがKDDIのネットワークを利用したMVNOサービスを提供することを発表した。
 総務省発表資料によれば、MVNO契約数は、2013年12月末で1,375万加入(携帯電話、PHS、BWAの合計)、前年同月比で+36.1%と順調な増加を見せており、M2M(Machine to Machine)市場における利用拡大も期待されている。総務省は、MVNOの参入促進や競争環境の整備を図るため、2014年1月29日、携帯電話事業者がMVNO向けに提供するモバイル接続料の算定方法に関するガイドラインの改正案を発表、同年3月11日に改正を行った。これを受け、NTTドコモは同年3月24日、モバイル接続料を大幅に改定することを発表した。

◆NFC(近距離無線通信)の広がり

 近距離無線通信のISO国際標準規格であるNFC(Near Field Communication)は、現在、Androidスマートフォンにほぼ標準装備されたことをはじめ、タブレット端末、デジタルカメラ、オーディオ機器(携帯ミュージックプレイヤー、コンポ、ヘッドセット、スピーカー等)、TV、炊飯器、オーブンレンジ、冷蔵庫、洗濯機、健康測定器、ゲーム機、時計等、さまざまな機器への搭載が進んでいる。
 NFCは、「カードエミュレーション機能」「リーダー/ライター機能」「端末間通信(P2P)機能」の3つの機能があり、この3つの機能を組み合わせることで、今後、さまざまなサービスの登場が期待されている。例えば、スマートフォンをNFC対応スピーカーにかざすだけで、スマートフォンに保存した音楽を、Bluetoothを介してスピーカーで簡単に視聴することができる。
  また、決済サービスでは、2013年12月、信販会社のオリエントコーポレーションが、NFC対応Androidスマートフォンで、Visa payWaveを利用できるサービスを開始した。これは、国内外のpayWave加盟店舗に設置されたNFCリーダーにスマートフォンをかざすだけで商品の代金を支払うことができるモバイル専用のクレジットカードである。2014年2月、KDDI、中華電信(台湾)、Hong Kong Telecommunication(香港)、SK Planet(韓国)は、アジア圏内におけるモバイルNFCの相互利用など、対応サービスの普及・拡大を目的とした「ASIA NFCアライアンス」を設立した。

◆VoLTE

 VoLTE(Voice over LTE)は、LTE回線でIPデータ通信による音声通話を実現する技術である。コンテンツプロバイダーが提供するVoIPサービスとの違いとして、通信事業者が一定の通話品質を確保し、緊急通報などにも対応する。
 通信事業者は音声通話を回線交換網で提供してきたが、VoLTEは従来の音声通話に比べ、発着信の接続時間や通話の遅延時間が短縮され、高音質の音声を提供できるようになる。回線交換網とLTE回線を併用している現在は、発着信の際に両ネットワークを切り替える技術などを用いて音声通話を実現している。通信事業者はコアネットワーク設備を回線交換網からIMS(IP Multimedia Subsystem)へ置換することにより、音声通話を含むすべての通信をIPデータ通信として提供できるようになる。
 2012年8月に、米国MetroPCS、韓国SK Telecom とLG U+が商用サービスを開始した。日本国内では、NTTドコモが2014年6月に、KDDIが2014年内にVoLTEのサービスを開始予定であることを表明している。VoLTEの導入によって通信回線が集約されることもあり、通信事業者各社にはVoLTEの導入に合わせて料金体系を改める動きもある。