「FUTURE GATEWAY」

KDDI research atelier がこれまで培ってきた技術を生かしながら、新しいライフスタイルを実践する人々とともに、これからのスタンダードを作っていくための共創イニシアチブです。
この連載では、そんな「FUTURE GATEWAY」に関わる人々の価値観に迫り、一緒に未来を考えていきたいと思います。

第2回に登場してもらうのは、建築マネジメント、空間プロデュースなどを行なうNOD代表の溝端友輔さん。KDDI research atelier の内装リニューアルに際して空間戦略企画・設計を担当してくれました。ここでは、そんな溝端さんの「FUTURE GATEWAY」に対する思いを伺います。

研究と実装がつながる空間にリノベーション

ーーそもそも、どんな経緯でこのFUTURE GATEWAYに関わることになったんですか?

溝端:(事務局メンバーである)加藤翼さんから「明後日KDDIの方と一緒にお店行くね」とDMをもらって。面白い場所の事例として、僕たちがやっている日本橋の「GROWND」を紹介してくれたそうで。(KDDI research atelier 執行役員の小林)亜令さんがその話を聞いた翌々日にお店に来てくれて、話をしたのがきっかけでした。

ーー亜令さんの行動力すごいですからね(笑)。それがこの研究所のいいところなんですが。

溝端:話をしていると、KDDI research atelier (以下、「research atelier」)は僕たちが普段作る場所のあり方に近いし、すごく相性がいいなと。それで盛り上がった結果「じゃあ空間頼むから!」と亜令さんに言われて。すぐに内装リノベーションを担当することが決まりました。その翌日から社内でいろんなブレストをして、2週間でプレゼン資料を準備して、その場でOKがもらえたので、すぐに施工を始めました。

溝端友輔:株式会社NOD代表。建築ディレクター / プロジェクトマネージャー。2019年に株式会社NODを創業し、遊休不動産のマッチングプラットフォーム「RELABEL」や日本橋のOMO型商業施設「GROWND」、その1階にある完全キャッシュレスのホットサンド専門店「HOT SAND LAB mm」などを手がけてきた。GROWND:https://grownd.jp/

ーー具体的に、research atelier を改装するにあたって考えたことを教えてくれますか?

溝端:「10年後の生活様式を考える」というKDDI総合研究所の目指す研究方針と、「研究結果が社会実装されなければ意味がない」という課題感を知り、この場所を「生活に馴染んでいくための空間」にしたいと思いました。それはつまり、ラボラトリー(研究)としての機能とデモンストレーション(実装)を行き来しながら、社会実装を加速できる場所です。その場所は、作って終わりではなく、つねにアップデートして行く必要があります。そのアップデートを一緒にやっていきたいし、そういう価値観自体を提案しました。具体的にいうと、今回のメッシュを使ったアイデアに加えて、フレームやカーテンで仕切るような案を出させていただきましたが、基本的には空間をカスタマイズできて、研究と実装がつながるような空間を意識しました。

ハードとしての場が変わり続けるということ

ーーこの共創イニシアチブのいいところは、会社として動くのではなく、関わるみんなが全員個人として動いていることで、個の集合体として、みんながベストなものを考えていることです。だからこそ、能動的にもなるし、何かに縛られることなく、いいものを作っていけるんだと思います。

溝端:僕は「いかにポジティブにハードを変わっていけるか」をつねに考えています。普通はハードを変えるのってコストがかかるし、大変だけど、それをポジティブに捉えたい。だから、能動的に楽しんでくれる人とは波長が合うんですよね。

ーーそもそも、変わらないから“ハード”なのに、それが変わるって面白い発想ですよね。実際に什器にはキャスターがついていて、可動式になっているというのもその思想が反映されてます。

溝端:そうですね。今までにない可能性を作り続ける、というのが会社の根幹にもあります。だからこそ、不動産においても余白というかアップデートの余地を作り続けています。

ーー「FUTURE GATEWAY」の大切にしたい概念の1つが「余白」なんですけど、余白がなければいいものは生まれないと思っていて、つねに新しい考えや声が入ってくるような場所にしたいと思っているんです。

溝端:ぴったりのイメージですね。たとえば、僕が最近考えているのは「変わり続ける家具」です。コーヒーのかすとか卵の殻とかを原材料にして、3Dプリンターで家具を作れないかなって。弱い素材だからこそすぐダメになるんですけど、ダメになったらまた素材に戻して作り変えればいいんです。

「究極、建築を作らなくてもいい」

ーー話を聞いていると、普通は変わらない価値観を大事にするけれど、溝端さんの中にはそういう概念がない気がします。

溝端:そうですね。今はホテルや飲食店が厳しい時代ですが、だからこそ「ビジネス的にホテルができない」のではなく、今だからこそできるホテルのあり方を考えたいんです。客観的な指標とか当たり前の価値観じゃなくて、主観的な感情をベースに事業を考えた方が、実は長く続くんじゃないかなとも思うんです。

ーー溝端さんはただ箱を作ってるんじゃなくて、なぜ作るのか、を深く考えていますよね。

溝端:NODは元々は建築設計の会社ではありましたが、理想としてはアウトプットが建築や不動産ではなくてもいいと思っています。NODのパートナーには編集者もデザイナーもエンジニアもいて、クライアントが本当にやりたいことを実装できる体制をつくっています。

ーー面白い。今「FUTURE GATEWAY」のメディアを作ろうとしていますが、それが「街」のような場所にできないかなって思っていて。目には見えないけれど、スマホを通して人々がつながる違う次元の街みたいな。もしかしたら、その設計をNODと一緒にやったら面白いのでは?

溝端:それ、やりたいです。ずっとオンラインに街を作りたくて、でも今まで提案してもなかなか予算が下りなかったんです。僕はハードとして建築を設計できますが、パートナーにエンジニアがいるからこそ、オンラインでも街を作れるんじゃないかなと。日本橋でやっている「GROWND」でもメディアを作って、オフラインとオンラインを行き来できるような場所として企画を考えています。誰もが身体性を拡張し、都市で遊べるようになるといいなと思っています。

ーーその考えこそが、私たちが目指したいOMO(Online Merges Offline)なんだろうし、ただ両者が補完するというのではなく、そこから新しい価値観が生まれていくような場所にしたいと思うんですよね。

溝端:そのためには、KDDIの技術も必要ですよね。技術協力をしていただきつつ、みんなが参加できるオンラインの都市を作ってみたいと思います。

「机上の空論」で終わらせないために、
research atelier ができること

ーーまさに共創関係が成り立つわけですね。ある意味でアーティストとパトロンの関係のように、アイデアを持つ人と、技術や空間を持っている会社が組むからこそ、新しいものが生まれる。ちなみに、research atelier という空間の未来にはどんな可能性があると思いますか?

溝端:この場所の未来を考えるのが面白くて、実は勝手に次の展開のパースを作ったりしているんですが(笑)、一つ言えることは、あらゆるフェーズのアップデートを混在させていきたいということ。というのも、この場所にはいろんなステークホルダーがいます。研究者の方がいて、パートナーの企業さんがいて、事業者もいて、それぞれの戦略や目指したい場所がある。それらは同じ方向を向いているようで、当然少しずつ違っているんです。それと同じように、この場所も、どう使いたいかは人によって違っています。だけど、自分が手を加えていい場所と、そうではない場所が混在している。そうして、予期せぬアップデートがミックスされることで、よりいい場所になっていくはずなんです。飲食店を作る時にも、店長の意志だけでお店が変わっていくと面白くなくて、いろんなフェーズでのアップデートが重なるからこそ、面白いものが生まれる。設計した通りに空間が使われないからこそ、それをポジティブに捉えて、アップデートしていきたいと思います。

※この記事は抜粋版です。全文はFUTURE GATEWAYサイトでお読み頂けます。