Bentoがサービス終了


新年早々サービス終了の話で恐縮だが、サンフランシスコで弁当の宅配サービスを手がけていた、その名も「Bento」が、12月9日付でサービスを終了していたことを明らかにした。

Bentoのホームページより
Bentoのホームページより

この「弁当」は4個の容器に分かれていて、それぞれの容器ごとに料理を選んでカスタマイズできるのが特徴。

料理の種類は寿司を含むアジア系。一流シェフを雇い、材料の仕入先を厳選し、健康に良くない材料や調味料等は使わず、パッケージは100%リサイクル可能という、あらゆる面でこだわりの内容。

しかも1食あたり12ドル程度(チップを入れると15ドル程度)とリーズナブルな価格設定。

2015年3月にサンフランシスコのダウンタウンでサービスを開始し、2016年3月には対岸のバークレーやエミリービルにも提供地域を拡張した。

同業のEAT Club、Zesty、Cavier Fastbiteなどとも提携し(すなわち卸していた)、5月にはアプリによる直接販売を終了(すなわち小売は撤退)して卸売に専念した。

5月の時点で1日100食だったのが12月には1日700食を提供するまでに成長していた。

そんなに成長していたサービスがなぜ終了するに至ったのか。創業者のJason Demant氏がブログでその理由を以下のように説明している。

  • 卸売に専念したことによりマージンが薄くなり、運営していくためには供給量を大幅に増やすことが必要になったが、その余力がなかった。
  • キッチンの大きさが限界に達し、タイミングよく料理を出すことができなくなった。
  • 資金繰りが困難になり、創業者自身の給料も払えなくなってしまった。

数週間かけて出資者や身売り先を探したが見つからず、やむを得ずサービスを終了することになった。

卸売に専念せず、小売を中心に身の丈に合った運営をすれば良かったのに、とも思うが、それはそれで大変だったのだろう。いいものを安く提供するのは容易なことではない。

オンデマンド食事宅配サービスの大変さを物語る事例だ。