AT&Tがデータ無制限プランを値上げ


新年早々値上げの話が続いているが、AT&Tもデータ無制限プランを5ドル値上げすることを明らかにした。実施は3月。

値上げの対象となるのは、昔からのデータ無制限プラン。このプランは2010年に廃止されて、新規顧客はデータ上限付きのプランしか選べなくなったが、前からこのプランを使っていた既存顧客はプランを変更しない限り引き続きこのプランが使えることが約束されている。この経過措置は「グランドファーザー」と呼ばれる。

このプランはもともと月30ドル(通話・テキストは別)だったが、2016年2月に5ドル値上げして月35ドルになっていた。2017年3月からは月40ドルになる。

この料金だとAT&Tの最新プラン「Mobile Share Advantage」ではデータが月に3GBしか使えない。値上げされてもまだ「グランドファーザー」プランの方がお得感がある。

一旦手放してしまうともう手に入らないという貴重なプランだ。巷ではeBayなどでこのプランがアンティーク品のように売買されている。

Ebeyより
eBeyのSIMカード売買サイトより

ところで、既得権者にはありがたい「グランドファーザー」というルールは、19世紀後半に生まれたもの。

南北戦争後に成立した憲法修正条項で、市民に投票権を与えるにあたっては人種差別をしてはならないと定められたが、州レベルで実質的に黒人に投票権を与えないようにするため、読み書き能力試験や投票税の支払いなどの要件を導入したところがあった。そうすると貧困・文盲の白人まで投票権がなくなってしまうため、例外的に南北戦争以前に投票権があった人(グランドファーザー)とその子孫は要件を免除するというルールを作った。

このルールは投票権に関してはその後違憲とされ、廃止されているが、データ無制限プランを含め、さまざまな分野でまだ生きている。