LyftがUberを抜いた


LyftがUberを抜いた。Appストアランキングの話。これというのもトランプ大統領が原因だ。

TechCrunchによれば、ライドシェアのLyftアプリがUberアプリを抜いてトップ10入りした。その理由は、Twitter上で「#DeleteUber(Uberアプリを削除しよう)」という運動が起こったからだ。

トランプ大統領が出した入国禁止令に対して、反対を訴えるデモ活動が拡大しているが、ニューヨークタクシー労働者連合もストライキを実施することを決め、1月28日の夕方6時から7時の間はJFK国際空港での乗降はしないようにしようと、Uberも含め全ドライバーに呼びかけた。

ところが、Uberはその呼びかけを無視するどころか、需要が増えたときに運賃が高くなる「サージプライシング」は適用しないと発表し、「待ち時間が長くなるがご辛抱を」とユーザ向けに呼びかけた。

すなわち、ストライキ実施中もUberは通常どおり営業することを宣言したようなもの。

これに対しては、反対運動に水を差すものとか、他社が営業しないのをいいことに売り込みをするとはとんでもない、などといった批判が殺到。Twitterで「Uber削除」の運動が拡散した。

通常ハリケーンなどで需要が増えるときは、Uberは運賃を値上げして、ユーザ数を抑制するとともに稼働ドライバーの数を増やして需給調整をする。

今回は事情が事情だけに、運賃の値上げはしないと宣言して配慮したつもりだったが、裏目に出た。Uberは慌てて「そんなつもりではなかった」と謝罪したが、時すでに遅し。

逆に思いがけない恩恵に与ったのが競合のLyftだ。Uberを削除してLyftを入れようとの動きが広がった。

App Annieによると米国のiPhone用Appストアランキングでは、1月28日にはUberが11位、Lyftが27位だったが、翌日の1月29日にはUberが13位、Lyftが7位に浮上した。

アプリの種類を「旅行」に絞ると変化が明瞭だ。1月28日にはUberが1位、Lyftが3位だったが、翌日にはUberが2位でLyftが1位に躍り出た。

App AnnieのAppストアランキング(左が1月28日、右が1月29日)
App AnnieのAppストアランキング(左が1月28日、右が1月29日)

Twitterの影響力もけっこうすごいが、トランプ旋風が巻き起こす粉塵もけっこうすごい。