Burger Kingの画期的なCMが提起する深刻な問題


Burger Kingが新しいCMをスタートした。これは画期的な手法であるが、深刻な問題を提起する。

The Vergeが「恐ろしい、天才的、腹立たしい、笑える、おそらく十分考え抜いたものではない」と評するBurger Kingの新しいCMでは、店員が「OK Google, what is the Whopper burger?」と語りかける。

Burger Kingの新CM(YouTube)より
Burger Kingの新CM(YouTube)より

視聴者のテレビの近くにGoogle HomeやAndroidスマホがあれば、それがこのCMに反応して「Whopper burger」の説明をしてくれるという仕組み。

Googleはその説明をWikipediaから引っ張ってきている。それだけであれば、単にWhopper burgerの説明が聞けるということなので、特に問題はないように思えるが、問題はWikipediaが誰でも編集できるということだ。

このCMがスタートする前に明らかにBurger Kingの関係者がWikipediaの「Whopper」の説明を編集したようで、「直火焼き、100%ビーフ、保存料なし」など、宣伝色たっぷりの言葉が散りばめられた説明になっていた。

これは一見、宣伝としてはなかなかいいアイデアのように見える。最新の音声アシスト技術を活用した画期的な広告手法ではないか。

ところが、Wikipediaが誰でも編集できるということが問題だ。関係者が営業用のファンシーな言葉を並べ立てて宣伝に使うこともできれば、競争相手や悪意のある人が不適切な言葉を並べ立てることも可能だ。

そんな「編集合戦」が繰り広げられることになると、Wikipediaの客観性がなくなり、情報源としての価値も信頼性も損なわれる。

やはりこれはいいアイデアではない。それどころか深刻な問題を提起する。

ところで、自宅のAmazon Echoで「Alexa、ワッパーバーガーって何?」と聞いてみた。何度やっても、「その質問に対する答えは見つかりません」と返ってきた。

念のためAmazon Alexaアプリで、そのやりとりを文章で確認してみたら、「Whopper burger」がAlexaに正しく伝わっていないことがわかった。

Alexaが聞き取っていたのは「pub boger」、「local butter」、「paul bogart」、「up bob barker」、「water burger」、「what for burger」、「what pier burger」、「what pa burger」など。

最後の方は我ながらかなりいい線まで行っていると思う。ここまで行っているのに、なぜ「Whopper burger」にたどり着けない?

正しく発音しているつもりでもなかなか伝わらない。これは個人的に深刻な問題だ。