Sprintは「ポール効果」で顧客獲得を狙う


Sprintは「ポール効果」で顧客を獲得しようと、新作ビデオで宣伝活動を始めた。

Sprintのビデオ広告より
Sprintのビデオ広告より
Sprintの宣伝に起用されているポール・マルカレリ氏は、以前はVerizonの「Test Man」のCMで、「Can you hear me now?(今度は聞こえるかい?)」を連呼して盛んにVerizonの宣伝をしていた。

以前宣伝していた会社の競争相手の宣伝をするというのは、相当バツが悪いものだろうと推察されるが、Sprintはそれを逆手にとって、乗換えの象徴的存在としてポールの英断をアピールする。

今回Sprintはパロディ・風刺ニュースサイトのThe Onionのクリエイティブチームと共同で6本の宣伝ビデオを制作した。どれもニュースマガジンの形式で、「ポール効果」とも言うべき現象が全国に広がっていることを伝えている。

VerizonからSprintに乗り換えて大幅な節約を実現した勇気ある男、ポール。全国的に一躍有名になり、多くの人に元気を与えている(という設定)。

全国に波及している「ポール効果」とは次のようなものだ。

  1. ポールのファンクラブができており、ポールの格好をする人が増えている。ポールのように黄色いTシャツを着て、黒縁のメガネをかけて、ポールのように振る舞うのがトレンディだ。
  2. これまで退屈だった小学校の学芸会が、ポールを演じることで盛り上がるようになった。
  3. 子供をポールと名付けるのがブームになっている。今年産まれた250万人の赤ちゃんのうち、ポールが54%、ポーラが37%、パウルが9%。
  4. ハリウッドにも「ポール効果」が波及している。2017年秋に公開予定の映画は『ポール』。黒縁プロダクションと無制限データフィルムの共同制作だ。
  5. インディアナ州ビソンでは高さ10メートルものポールの銅像建設が進んでいる。銅像の頭の上に「天使の輪」が付いている。これは鳩を追い払うための電線を兼ねている。
  6. 「ポール」という言葉を人々はいろいろな意味で使うようになったことを考慮し、辞書作成者連盟が、「ポール」の新しい使い方を認めることにしたと発表。今回認められることになった使い方は、「今日はポールの日にしよう」、「あのタッチダウンのパスはポールだったよ」、「君は今最高にポールだ」。

これを報じたEngadgetは、「あまり良くない」と否定的。ビデオ自体の出来も良くないが、請求書半額のプロモーションを終了したばかりだし、過去には数千万ドル規模の不当請求もあったし、と実績を手厳しく批判。

たしかにビデオの出来はイマイチだ。一つ一つのビデオにあまり面白味がないし、表面的な笑いに走りすぎて、メッセージが伝わってこない。パロディにそこまで求めるのは酷か。

小学生に「料金が下がって夢が叶った」と言わせるのもあまり感心しない。