バイクシェアリングの明暗


サンフランシスコのバイク(自転車)シェアリングの「GoBike」は、安くて手軽な交通手段を提供しているが、これに反感を持つ人達もいる。

最近サンフランシスコのダウンタタウンでよく見かけるようになった「Ford」の看板を掲げたバイクシェアリングの「GoBike」。いたるところに専用の駐輪ステーションがある。周辺都市を含めて5都市、540か所にステーションがあり、自転車の数は7,000台に上る。

利用料金は1回片道で3ドル、1日券が9.95ドル、3日券が19.95ドル、年間パスが149ドル。低所得者向けに5ドルで年間パスが使える制度もある。

このサービスがこの度、クレジットカード決済のCloverと提携したのを記念して、11月10日の金曜日にはこの1日券(デイパス)が無料になるプロモーションが実施された。1回当たり30分以内なら何回乗っても追加料金はかからない。1回の利用で30分を超えた場合は、超過15分ごとに3ドルがかかる。

安価で手軽な交通手段として、使う人にとってはありがたいサービスだ。ただ、使わない人にとっては何の意味もないどころか邪魔な存在でさえある。実際、このサービスに反感を持っている人たちもいるようだ。

この自転車が盗まれたり、壊されたり、木に吊るされたり、パンクさせられたり、池に沈められたりする事件が起こっているが、それが反感を持つ人たちの仕業ではないかと言われている。

これに反感を持つ人達から見れば、このバイクシェアリングなるものは、Googleの通勤パスと同様、IT企業に勤める高給取りの人たちのためのサービスであって、地元民の自分たちには関係がない。そんな高給取りの人達がダウンタウンに住んだり勤務したりしているために、この地域の家賃や物価が上がって、多くの地元民が追い出される「ジェントリフィケーション」という現象が悪化している。

Googleの通勤バスに対しては玉子をぶつけるなどして反対の意思を示していたが、バイクシェアリングに対する怒りの矛先は自転車に向かっている。

しかしいくら不利益を受けているからとは言え、自転車を破壊するなどの犯罪行為をすることが正当化されるわけではない。そういうことを平気でする民度の低い人たちの多い社会では、シェアリングエコノミーは育ちにくい。