Burger Kingがワッパーでネット中立性を解説


Burger Kingがネット中立性の理解を助けるため、『ワッパー中立性』なるビデオを制作した。

ネット中立性ルールが撤廃されようとしていることに対する懸念の声が高まっているが、「ネット中立性」って聞いたことあるけど、何のことかわからないという人が多い。そういう人のために、Burger Kingが『ワッパー中立性』というビデオを作った。

Burger Kingのカウンターでワッパーを注文し、出来上がるのを待っている。自分の番号がなかなか呼ばれない。自分より後の番号が呼ばれている。「まだか」と店員に尋ねると、あなたのは低速アクセスのワッパーだから時間がかかると言う。

Burger Kingのビデオ『Whopper Neutrality』/YouTubeより

メニューを見ればわかるように、「高速MBPS」のお客さんが優先だ。「超高速MBPS」のお客さんは最優先だ。ちなみに「MBPS」は「Making Burgers Per Second」のこと。

当店では儲かるメニューを優先しているとのこと。もし早くほしいのなら高速メニューを注文すればいいとも言う。

それを聞いて、低速の客たちが怒り出す。

インターネットはワッパーと同じで、誰にでも同じように提供すべきだ、というのが、Burger Kingの解説するネット中立性だ。これはまったくの的外れというわけでもないが、着目点がずれている。

Burger Kingが示しているのは、顧客が選んだメニューによって速度が変わるのはけしからんということ。すなわち、高いメニューを選んだ顧客が速くて、安いメニューを選んだ顧客が遅いのはけしからんということ。

しかし、これは世の中では当たり前のことだ。インターネットサービスは速度によって料金が違う。高い料金を支払えば高速のサービスが受けられるのは当然だ。航空会社でも高い運賃を支払った乗客が優遇される。それが世の中のルールというものだ。

ネット中立性の問題点をより良く説明するためには、コンテンツの提供者に着目する必要があるので、Burger Kingではやや無理がある。いろいろなブランドの商品を取り扱っているデパートなどがビデオを作った方がよかった。

特定のブランドの商品は早く出し、オリジナルブランドの商品は最優先で出して店員が客を出口まで見送り、それ以外のブランドは遅く出すか、在庫がなくて取り寄せに数週間かかるというようなビデオがいい。

それでもThe Vergeは、Burger Kingがそこらの議員さんたちよりも良くネット中立性を理解していると評価している。

議員さんたちの理解度とはどれほどのものなのか、想像すると恐ろしくなる。