VerizonがSIMロックをかける


Verizonが端末の盗難防止のためにSIMロックをかけると言い出した。

VerizonはこれまでほとんどのスマホにSIMロックをかけていなかったが、CNETによると、今後はSIMロックをかけると言い出したそうだ。その理由は盗難防止とのことだ。

アンロックされた端末は他社や海外のネットワークでも使えるので盗難の対象になりやすいからだ。盗んだ後に高く売れるiPhoneが特にターゲットになりやすい。

まずはショップへの運搬中やショップでの保管中に盗まれるのを防止するため、その間はSIMロックをかけておき、顧客が端末を購入してアクティベートしたと同時にソフトウエアでアンロックする。これだけで済めば今までとほとんど変わらない。

ところが、次の段階として、今年の春から、顧客が購入してアクティベートした後も、何日間かはSIMロックをかけて、その間は他社のネットワークで使えないようにするそうだ。

アクティベートした後何日間SIMロックをかけるのかはまだ明らかにされていないが、これが実施されると今までとはかなり事情が変わってくる。もっとも、Verizonからすれば、業界の慣行に従うだけのことということになる。

他社はもともとSIMロックをかけており、アンロックをしてもらうためにはそれぞれの基準をクリアしないといけない。たとえばAT&Tは端末の残債がなくて60日間以上使用した後でないとアンロックの申請を受け付けない。申請を受け付けてからもアンロックされるまでにさらに14日間は待たされる。

T-Mobileもやはり残債がなくて40日間以上使用しないとアンロックしてくれない。Sprintは残債がなくて50日間使用すると自動的にアンロックしてくれる。

Verizonは端末の残債がなくても一定期間が経過すればアンロックすることにしているそうなので、他社に比べれば多少良心的と言えなくもない。

ところが、そもそもVerizonがこれまでSIMロックをかけていなかったのは、2008年に周波数オークションで700MHz帯のCブロックを取得した際にFCCに禁じられたからだ。

そのルールを順守するという条件で周波数を取得したのだから、盗難防止が目的とはいえそのルールを破ることになると、規制上や道義上の問題も出るかもしれず、FCCが認めるかどうかも定かではない。

このVerizonの動きに対して、Gizmodeなどは、「盗難防止」というのはルールを反故にするための単なる言い訳だと批判している。

確かにこのルールはVerizonにとっては厄介者だろう。盗難だけでなく他社の乗り換えキャンペーンのターゲットにもなりやすい。実際、T-MobileSprintはVerizonの顧客をターゲットにしたキャンペーンを頻繁に実施している。

そのキャンペーンがあまりにも魅力的なので、Verizonの顧客でなくても、キャンペーンを利用するために、わざわざ一旦Verizonに乗り換える人もいるくらいだ。

そういう技が使えなくなると少しつまらなくなるので、やはりVerizonだけはSIMロックをかけないでほしいものだ。