画期的な自転車シェアリング


近頃街でよく見かけるようになった緑と黄色で塗装された自転車。「LimeBike」と表示されている。これは画期的なバイクシェアリングだ。

アプリの地図上で自転車の居場所がわかり、アプリの「アンロック」ボタンをタップしてサドル後部に付いているQRコードをスマホでスキャンすると後輪のロックが解除されて使える状態になる。

利用料は30分ごとに1ドル(学生や教員など学校関係者は50セント)。1回あたりの最長利用時間は24時間。1か月29.95ドル(学校関係者は14.95ドル)で100回まで乗れる「LimePrime」というパスもある。

バイクシェアリングは既にいくつか競合サービスがあるが、この「LimeBike」のユニークなところは、自転車を借りたり返したりする際のドッキングステーションがないことだ。ではどこで借りてどこに返すのか。

どこでもいい。とは言え、交通や歩行者の妨げになるようなところに置いてはいけない。他人の家の車庫の前などに置いたりしてもいけない。安全で合法的に置ける場所ならどこに置いてもいい。

なお、あらかじめ使いたい日時や場所を予約することはできない。置いてある自転車を見つけたら早い者勝ちで利用できるというシステム。

乗り終わったら安全・合法的な場所に置いて後輪のロックをかけると返却手続きは完了する。料金はアプリ上のウォレットに入金したデポジットから引かれる。

もしロックをかけないで放置すると、自転車を返却していないとみなされ、引き続き課金される。48時間経っても返却しないと紛失・盗難の扱いとなり、最大600ドル請求される場合がある。

このシステムのメリットとしては、ドッキングステーションを設置する必要がないので、低コストで短期間に導入できること。自転車やアプリはすべて運営会社が提供・維持するので、自治体の負担はないし、税金が使われることもない。

ドッキングステーションのない「ドックレス」バイクシェアリングというビジネスモデル。利用者にとっても使いやすそうだが、実際の運用上はいろいろ問題が出るのではないかとの心配もある。

たとえば、自転車の数が増えると置ける場所が自転車で溢れかえってしまうのではないか。また、朝夕の通勤・通学の時間帯などは多くの人が同じ方向に利用するだろうから、自転車が特定の場所に集まり過ぎるとか、乗りたい場所に自転車がないなど、自転車の配置が偏ってしまう可能性もある。

TechCrunchによれば、人気のある方向と反対方向に行くときは無料にするなどして、自動的にバランスをとるような仕組みも考えているようだ。

バイクシェアリングは「ドックレス」に向かいそうな雰囲気だ。