ComcastのX1バブル崩壊


ComcastのX1バブルは崩壊した、とのアナリストの見方をFierceCableが紹介している。

Xfinity X1のホームページより

米国のケーブルTVなどの従来型の有料TVサービスは2017年に350万件の顧客を失い、2018年はさらに悪化すると予想しているのは、nScreenMediaのアナリストのColin Dixon氏。

「コードカッター」の増加で従来型の有料TVサービスの顧客離れが進む中、Comcastは2016年にTVサービスの顧客を10.3万件増やして市場を驚かせた。10年ぶりの顧客純増だった。

これにはComcastのXfinity X1が寄与しているとされた。X1は最新のセットトップボックスに加え、番組表や録画や音声操作など便利で多彩な機能を組み込んで、ケーブルTVとインターネットを融合させたさまざまなサービスを可能にするプラットフォーム。これはなかなか人気があり、コードカットの進行を食い止めることができるかもしれないと期待された。

ところが、2017年にはComcastは18.6万件の顧客純減となってしまった。早くも「X1神話」が崩れた形となった。同業他社はもっと深刻だ。

米国の有料TVサービスの上位7社の合計(全体の85%を占める)で2017年に約300万件の顧客を失った。対前年比で3.65%の減少。残りの15%の事業者も同じ傾向だとすると、業界全体で350万件の顧客純減になると予想される。

対前年比で最も深刻なダメージを受けたのはAT&TのU-verseで、17.13%減となる62.2万件の純減。純減数で最も深刻だったのはDish Networkの114万件の純減で、これは対前年比10.34%減。

もっとも、AT&TやDishはそれぞれDirecTV NowやSling TVといった自らのOTTビデオストリーミングサービス(vMVPD)を持っていて、積極的に顧客をそちらへ誘導しているという部分もあるので、単純な顧客減少というわけではない。

従来型の有料TVサービスからvMVPDにかなりの顧客が移行しているというのが実情だが、同氏によればこれも有料TV業界にとっては深刻な問題だ。というのは、vMVPDサービスは基本的に「儲かっていない」からだ。

儲かる程度にまでサービスの料金を上げるのは競争上難しく、そちらへ顧客を誘導しないわけにもいかない。2018年もこの状況は続くと見られている。

有料TVサービス業界の環境は一段と厳しさを増すと予想される。