AT&TとTime Warnerの合併を阻止すべく国(司法省)が起こしていた訴訟において、6月12日、ワシントンD.C.の連邦地裁は、国側の訴えを棄却する判決を下した。
合併を認める代わりに資産の一部を手放せ、などの条件は一切つけず、無条件に合併を認める内容。AT&T/Time Warnerの全面的勝訴と言える。
さらに、この判決にはリチャード・レオン判事による意見書が付された。その中で、司法省・国に対して、上訴しないよう強い口調で促している。上訴しても勝てる見込みは薄いとも言っている。さらに、それでも上訴するのなら、AT&Tのみならず数百万の株主や経済界全体の司法システムに対する信頼を損なうことになるとまで言っている。
裁判官の心証が、よほどAT&T/Time Warnerの側に傾いていたと見える。
背景には、この合併手続きが6月21日までに完了しなければ、AT&TはTime Warnerに5億ドルの違約金を支払うことになっていたことがある。
もし司法省がこの判決の差し止めと上訴に踏み切ると、期限までに合併手続きが完了できなくなり、AT&Tが「回復不能の損害」を受けるところだった。
とは言え、司法省には上訴する権利があるので、まだ上訴しないと決まったわけではない。