アメリカにあって日本にないものは。その答えはいくつもあるが、この自転車マークの標識もその1つだろう。
自転車が車道を一車線専有できるという標識。とは言え、自転車には一車線をまるまる専有できるほどの幅はないので、物理的に不可能だ。これは車線上のどこを走ってもいいという意味だ。
自転車専用レーンがないところでは、通常、自転車は車線の右端(右側通行なので歩道寄り)を走らないといけないことになっている。自動車は同じ車線上で自転車の左側を並走することができる。
ただし、追い越しをするとき、左折するとき、障害物があるとき、道路が狭すぎるときなどは、自転車でも右端でない部分を走ってもいいことになっている。
上記の例外規定に該当する場合は、この標識がなくても自転車は右端でない部分を走ってもよい、すなわち一車線を専有できることになっている。
そうすると、この標識はあまり意味がないのではないかという気がする。
わざわざこんな標識を掲げると、その標識のないところでは上記の例外規定に該当する場合でも自転車は右端を走行しなければならないとの誤解も生じそうだ。
実際、このルールは自転車の利用者や自動車の運転者はもとより、警察官でも知らない人が多いようで、実は交通違反ではないのに反則キップを切られることもあるようだ。
それなら全部の道路にこの標識を掲げてはどうかという意見もあるだろうが、それはコストと手間を考えると現実的ではない。
では、どのような場合にこの標識が掲げられるのか。
正確なところは謎だが、思うに、車線が広いのか狭いのか微妙なときではないか。広いか狭いかが明らかな場合は、自転車も自動車もそれなりの行動が取れるが、微妙な場合にはどっちなのか迷ってしまう。
特に、自動車の運転者は自転車が車線の右端を走るものと理解し、自転車の利用者は自転車が車線を専有できると理解すると、思わぬ事故につながりかねない。
そんな場合に、この標識を掲げて明確化しようというものではないか。
たまたま見かけたこの標識があった場所は、たしかに車線が微妙な幅だ。