Apple製品の中で一番売れているのは、意外にもヘッドフォンジャックアダプタだった。
Appleは2016年にiPhone 7/7 Plusを出した際に、「勇敢にも」ヘッドフォンジャックを撤廃した。これによりiPhoneに差し込むことのできる穴は電源ケーブルと共用のLightningポートのみとなった。
Appleはこれを機にワイヤレスのヘッドフォン「AirPods」も販売しているが、これが別売りで159ドルと極めて高い。iPhoneを購入した際に無料で付いてくるヘッドフォンは従来の「EarPods」となった。すなわち、コネクタは従来どおりの3.5mmミニプラグ。
このヘッドフォンをiPhoneにつなぐためには、3.5mmミニプラグをLightningに変換するアダプタが必要で、Appleはこの変換アダプタも無料で付けている。
冒頭で触れた、Apple製品の中で一番売れているというのは、この変換アダプタのことだ。小さいものなのに、別に買うと1個9ドル(Appleの直売の場合。Best Buyでは9.99ドル)もする。

Cerosが紹介するBest Buyの販売データによれば、2017年第2四半期から2018年第1四半期までは、Apple製品の中ではこの変換アダプタが販売台数でずっとトップの座を維持していた。2017年第1四半期以前はLightning – USBケーブルがトップだった。2018年第2四半期にやっとトップの座がAirPodsに移った。

ちなみに、iPhoneは色別、キャリア別で違う製品として扱っているために、このランキングには入ってこないそうだ。
ところで、このアダプタがなぜそんなに売れるのだろうか。そもそも無料で付いてくるのだから、わざわざお金を出して買う必要はないのではないか。
Cerosによれば、傷みやすくて紛失しやすいからだそうだ。紛失はユーザの不注意が大きいが、傷みやすさは必ずしもユーザの責任とは言えない。Appleの好調な売上を支えている一因はこんなところにもあったのか。
そう言えば、昔のiPhoneの電源ケーブルも傷みやすかった。コネクタの付け根が裂けて中のワイヤーが露出したり切断したりした。家族で4台のiPhone 3GSを使っていたが、その全部のケーブルが同じような傷み方をした。Appleストアに相談に行ったら無償交換はできないと突っぱねられ、がっかりした思い出がある。
こんなところで儲けなくてもいいではないか。