ドーナツとランニングの過酷な体験


Krispy Kremeのドーナツとランニングを組み合わせた過酷な競技大会が開催された。

アラバマ州タスカルーサ(Tuscaloosa)では、毎年、Krispy Kremeのドーナツとランニングを組み合わせた競技大会が開催されている。今年も2月23日に行われた。

大人も子供も参加でき、参加費は6才までは無料、12才までが25ドル、13才以上は35ドル。事前予約が必要だが、空きがあれば50ドルで当日参加も可能。慈善団体の「Big Brothers Big Sisters」が寄付金集めのために実施しているもの。

競技参加者はまず初めに1マイル(1.6 km)走り、その後Krispy Kremeのドーナツを12個平らげ、その後また1マイルを走って、トータルのタイムを競う。

勝負にこだわらずに参加することでもOK。その場合、個人参加者は1マイル走ってからドーナツを何個でも好きなだけ食べて、また1マイル走る。

団体参加もできる。1グループは4-12人で、全員で1マイル走り、グループ内のトータルでドーナツを24個食べ、その後また全員で1マイル走る。

全力で1マイル走ると喉は渇くわ、息はぜいぜいするわで、その後すぐにドーナツが食べられるような状況ではない。そこを何とか12個のドーナツをクリアすると、その後がまた大変なランニングだ。最初のランニングと距離は同じだが、お腹にはドーナツが12個も詰まっている。その過酷さたるや、想像を絶する。

実際に競技に参加したスポーツライターのBen Jones氏がTuscaloosa Newsで参戦記を綴っている。

同氏は3年前にも参加しており、これが2回目の挑戦。普段は朝、10-12マイルのランニングをした後にドーナツを1-2個食べるのを楽しみにしている。競技ではその反対のことをしないといけない。

3年前には惜しくも入賞を逃した。その経験を踏まえ、今回はおおまかな戦略を立てた。

最初のランニングは体力を使い果たさないようにしてなるべく早く走ることだ。ドーナツをいかに早く食べるかにも工夫がいる。最後のランニングは体力勝負。お腹にドーナツが詰まった状態でいかに走り切るかが問題だ。

前回の経験で、最初に1マイルを5分30秒で走ると、ドーナツを食べる余力がなくなって失敗することを学んだ。今回は6分を少し上回るタイムで走り、ドーナツに取りかかかる。ドーナツ4個を積み上げて叩き潰した塊を3個作り、それを噛んでは水をがぶ飲みするという行為を繰り返した。

残りひと塊(ドーナツ4個分)になったときに、1人が最後のランニングへと飛び出した。あと2口食べれば完食というところで、また2人が走り出した。これで入賞が遠のいた。ドーナツ10個を食べたところで引き返すわけにはいかない。

最後のランニング。最初のランニングは全速力でのスタートとなるが、最後のランニングはふらふらの足引きずり状態でのスタートとなる。最後の1マイルが走り切れない人は多い。弱っていた人を何人か追い抜いた。1人は追い抜くと猛烈に抜き返してきたが続かず、後ろに離れていった。

走っているうちにだんだん胃袋が落ち着いてきた。最後の1マイルを約7分で走り切った。トータルタイムは18分50秒。我ながら上出来だったが、またしても入賞を逃した。

競技終了後何時間かはゲップが出るとグレーズの臭いが漂った。手はベトベトしている。昼下がりには低血糖症状に襲われたが、夕方頃には落ち着いた。また1日か2日したらランニングをしようと思うが、ドーナツは当分は食べない、とのことだ。

かなり過酷な体験であることがわかる。こんな競技に参加して、ドーナツが嫌いになる人が増えないか、やや心配だ。

ところで、こんな競技に参加して、具合が悪くなるだけでなく、生命の危険に及ぶことはないのかと心配する人もいるだろうが、そんな心配は御無用だ。

競技が行われた場所は「タスカルーサ」だから。