AT&TのTime Warner買収が確定


米控訴裁の判決により、AT&TのTime Warner買収が確定した。

 

AT&TのTime Warner買収を認めた連邦地裁の判決に対し、昨年7月に司法省が上訴していたが、2月26日、連邦控訴裁は司法省の訴えを退ける判決を下した。

控訴審において、司法省は連邦地裁のレオン判事が事実誤認に基づく間違った判断により買収を認めたと主張していた。控訴裁の判決では、「たしかにレオン判事の意見には司法省が指摘するような看過できない問題発言があったが、買収を認める判決を覆すほどの重大な間違いはなかった」と判断した。

この判決に対し、司法省は再考を求める考えはないと表明したことから、AT&TのTime Warner買収が確定した。

AT&Tが今回勝訴した鍵となったのは、コンテンツの調達交渉で協議が整わなかったときに、番組を放映できなくなる「ブラックアウト」を回避する措置を提案したことだろう。

Time Warner傘下のTuner Broadcastingは各配信事業者に対し、コンテンツ交渉が行き詰まったときのために、仲裁制度を用意することを提案するとともに、その間に契約が切れてしまってもそれまでと同じ条件で番組を放映できるようにすることを約束した。さらにこの約束は撤回しないと言明した。

これにより、コンテンツ交渉が難航して現契約が切れるまでに契約更新ができなかったとしても「ブラックアウト」は起こらないこととなり、AT&T/Time Warnerが合併して交渉力が強くなると、コンテンツ使用料が値上がりするとの司法省の主張の論拠が極めて弱くなってしまったからだ。

もっとも、合併しようとしまいと、コンテンツ使用料は毎年値上がりしているのだが。

今後、同様の買収・合併の話が活発化しそうだ。