シリコンバレーからの脱出は続くが


起業家や投資家などのシリコンバレーからの脱出が続いている。

同じような話は以前からあるが、1年位前にはシリコンバレーやサンフランシスコを含むベイエリアから脱出しているという動きが注目されていたのに対し、TechCrunchが伝える最新情報は、シリコンバレーからサンフランシスコに脱出するという狭い範囲のもの。少し状況が変わっているのか。

たとえば、スタートアップ企業に出資したり育成のためにさまざまな支援をしたりしているY Combinatorは、現在シリコンバレーのマウンテンビューにある本社をサンフランシスコに移すべく、オフィスの場所探しをしている。従業員や支援企業の創業者の半数以上がサンフランシスコに住んでいるからだ。

顧客の近くにいたほうが何かと便利だし、従業員にとっても通勤に便利な方がいいのはたしかだ。同様にシリコンバレーの投資会社などが「北」へと向かう動きが続きそうな様子だということだ。

シリコンバレーからサンフランシスコへの移動の動きは2012年頃からあり、UberやTwitterなどがサンフランシスコに本社を置き、関連の投資会社などもサンフランシスコに移る動きはあった。

ただ、その動きがこれほど顕著になるとは想定されていなかった。当初はシリコンバレーが60%、サンフランシスコが40%の割合だろうと予想していたところ、蓋を開けてみたらサンフランシスコが80%、シリコンバレーが20%の割合だったとの見方もある。

サンフランシスコはもともと家賃は高いし交通混雑も激しい。パーキングスペースを探すのも大変なので、車で動き回るには不便だ。こんなところにさらに人や会社が集まってもいいことはないだろうに。

そうかと言って、シリコンバレーが過疎化したり物件や家賃が値下がりしたりしているかと言えば、そんなことはまったくない。シリコンバレーの丘陵地には依然として高級住宅地がそびえている。不動産の価格や物価が下がる気配もない。

すなわち、ベイエリア全体としてはこれまで以上に人や会社が集まっていて、物価は上がり混雑が激しくなっているという状況なのではないか。

ベイエリアからの脱出希望者が増えているという情報は何だったのか。