AppleのMessagesアプリの吹き出しの色は、相手がiPhoneだと青になり、iPhone以外は緑になる。これには訳がある。
AppleのMessagesアプリ(SMS/MMS)では送信先の相手がAppleのインスタントメッセージングサービス「iMessage」を使っているユーザとそうでないユーザで吹き出しの色が変わる。
相手がiMessageを使っていれば自分の出したメッセージが青い吹き出しで表示され、相手がiMessageを使っていないと自分の出したメッセージは緑の吹き出しで表示される。
したがって、通常は自分の出したメッセージが青なら相手はiPhoneを使っており、緑ならiPhone以外(おそらくAndroidスマホ)を使っているのだろうと判断される。
これがさまざまなドラマや悲劇を生み出している。
The Vergeによれば、iPhoneユーザの間では、メッセージが緑で表示される相手を見下したり避けたりする傾向があるようだ。
とりわけ、米国の若者の間ではiPhoneが主流(米国のティーンエイジャーの82%がiPhone)なので、Androidユーザが疎外される傾向が強いとのことだ。
メッセージをやり取りする中でAndroidユーザは仲間外れにされたり険悪なムードになったりする事例が多数あるという。
iPhoneからAndroidスマホに乗り換えた後、親しい友人に連絡するときは、SMS/MMSを使用しないようになった事例もある。
逆に、今まで緑だった相手が急に青になると、iPhoneに乗り換えたんだなとわかり、「やったね」とか「おめでとう」などのメッセージで歓迎され、親密度が増すということもある。
単に感覚的な問題だけでなく、iPhoneとAndroidではメッセージのシステムが異なるので、グループチャットがAndroidユーザには届かなかったり、絵文字が共通でないなどの問題もある。さらに、文字が白なので背景が緑だと読みにくいという利用上の不便さもある。
よって、緑の相手はなるべく避けたいというような意識が働くことになる。
「緑は不安、青なら安心」という感覚が定着し、長期的に相手との人間関係に影響を与えることもあるという。スマホが原因で人間関係が悪くなるというのは、思いがけない落とし穴だ。
The Vergeは、心理学の専門家の意見も紹介している。ラトガース大学の心理学の准教授であるSarah Allred氏によれば、色はたしかに深層心理に影響を与える、人間は色によってさまざまな判断をする、色によってそれが何であるかだけでなく、その品質まで判断する、したがって色の選択は重要だ、と述べている。
たとえば、緑や黄色は否定的なイメージを持ちやすく、青は落ち着くとか、リラックスするといった感じを与えやすいとも述べている。
Appleは綿密に調査した上でMessagesアプリの中で意図的にこの配色にしたのだろうか。
もちろん、そうだろうと思う。