Uberが料金自由化を試行


Uberが料金の自由化をカリフォルニア州の特定地域で試行的に開始した。

アプリで決められる料金について、ドライバーが一定の範囲で上下できるというもの。10%単位で最大5倍、最小10分の1にまで変更できる。

完全な自由化ではないが、ドライバーの自主性がかなりの程度尊重されることになる。

Uberがこの方式の導入を検討しているのは、今年の1月からカリフォルニア州で通称「ギグエコノミー法」と呼ばれる法律が施行されたため。

この法律は、インターネットを通じて単発仕事をする「ギグエコノミー」の人たちのうち、事実上正社員のように働いている人は、正社員として雇わないといけないというもの。

正社員として雇われると、社会保険や有給休暇なども完備されることになる。

事実上正社員かどうかは、会社にコントロールされているか、会社の主要事業のみに従事しているか、他に独自の事業を持っているかという観点で判断される。

会社にコントロールされているかどうかは、会社の制服を着用するか、会社が決めたスケジュールに従っているか、会社が決めた賃金を受け取っているか、会社の訓練に参加するか、会社の備品等を使用するかというような観点で判断される。

Uberとしてはドライバーを正社員にするつもりはないので、料金をドライバーが決められるようにすることで、会社がコントロールしていないと主張する強力な材料にしようということだ。

ドライバーとしては料金設定に裁量の余地があるのはいいことだろうが、あまり高くすれば利用されなくなり、あまり安くすれば儲からなくてやってられなくなるので、結局はアプリ(会社)が決めた料金に従うことになる可能性もあるが、競争原理が働き、下手をすれば値下げ競争に陥るリスクもある。

利用者からすれば、その都度料金が変わる可能性があり、不安と混乱が増す恐れもあるが、今までも「サージプライシング」として、突然料金が変わる可能性はあったのだから、今までとそれほど変わらないかもしれない。

結局は今までと何も変わらないのに、「正社員」の問題を回避できる可能性があるのではないか。

それを検証するための「試行」だ。