生やすべきか生やさざるべきか


ヒゲを生やすべきか生やさざるべきか、というよりも、どう生やすべきかが問題だ。

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、米疾病対策センター(CDC)が作成したヒゲのインフォグラフィックが話題になっている。

CDCのブログより

マスクをするにあたり、良いヒゲと悪いヒゲを分類している。ヒゲの種類によってはスキマが開いてマスクの効果が薄れるからだ。

その種類たるや36種類。いや、一番左上はきれいに剃った状態だから、ヒゲの種類としては35種類。それにしても多い。ヒゲってこんなに沢山あったのかと驚かされる。

しかも、それぞれのヒゲに洒落た名前がついているのが面白い。さらに、ヒゲのスタイルを「顔のヘアスタイル」と呼ぶのも面白い。

基本的にはマスクの中に全部隠れるヒゲはOKだが、マスクからはみ出るヒゲはNGだ。

ところで、CDCでは今回の新型コロナウイルスの感染予防のために健康な人がマスクをすることは推奨していない。マスクは発症した人が感染拡大を防止するためにするべきものとされている。

よって、アメリカでマスクをしていると、「あの人は発症した人だ」と思われることがあるので、注意を要する。

実際に街中でマスクをしている人をほとんど見かけない。それにしては、どこのドラッグストアでもマスクは品切れで、入荷は未定だという。誰かが買い占めてしまったようだ。

今回、このヒゲのインフォグラフィックが話題になっているのは、マスクの着用を促進するためではない。

では、CDCはなぜこんなものを作ったのか。実はこのインフォグラフィックは、2017年11月に公表したものだ。今回の新型コロナウイルスのためではない。

「11月」と言えば、「Movember」とか「No-Shave November」というような、「11月はヒゲを生やそう」という運動がある。ヒゲは男性のシンボル。男性特有のガンや疾病に関する啓発・慈善活動だ。

そのような活動に参加する際には、密閉性の高いマスクを着用しなければならない場合もあるので、ヒゲを生やすにあたっては、マスクの性能に支障のないスタイルにしよう、という趣旨だ。

しかし、こんなに種類が多いと、どれにするか悩んでしまいそうだ。ヒゲをどう生やすべきか、それが問題だ、とハムレットも悩んだのだろうか。

そもそもハムレットはヒゲを生やしていたのか。