T-Mobile/Sprintの合併条件案は生温いとの声


T-Mobile/Sprintの合併に関するカリフォルニア州の条件付承認案に対し、生温いとの声が寄せられている。

T-Mobileのホームページより

T-Mobile/Sprintの合併については、4月1日に手続きが完了したと両社は発表したが、カリフォルニア州では合併の条件付承認案について20日間のコメント募集を経て、4月16日の採決に向けて審議が行われている。

Tellus Venture Associatesによれば、これまでに5件のコメントが寄せられたが、そのうち4件が合併の不承認や条件強化を求めるものだった。

CPUCの消費者擁護局(Public Advocate Office)は、数千ページに上る文書や何時間にもわたる公聴会でも、合併が消費者の利益に資することを示す十分な証拠が得られなかったので、合併を不承認とすべきと主張。それでもCPUCが承認するというのなら、実効性を担保する条項を追加すべきとも主張。公益事業改革ネットワーク(TURN)も同様の主張。

全米通信労組(CWA)は、雇用保証や労働者保護の観点から合併に対する懸念を表明し、承認案では公共の利益を害する点が見過ごされていると指摘。さまざまな証拠によりこの合併は反競争的であることが示されているとしたが、不承認とすべきとまでは言わず、従業員の権利を保護する措置を強制すべきと主張。グリーンライニング研究所(Greenlining Institute)も、企業の人種差別解消の観点で条件を強化すべきと主張。

唯一、カリフォルニア州新興技術基金(CETF: California Emerging Technology Fund)だけは、T-Mobileに好意的なコメントを提出した。同基金は当初、合併に反対していたが、T-Mobileから3,500万ドルの資金拠出を受ける契約を結んだ後、全面的に合併を支持することを決めた。コメントでは基本的に承認案を支持したが、T-Mobile/Sprintが条件を順守しない可能性があるので、CPUCの強制力を強化することを求めた。

なお、CETFのT-Mobileとの契約は、T-MobileとSprintの固定通信に関する合併申請がCPUCにより承認されることを条件としているが、この申請自体をT-Mobile/Sprintが取り下げる申請をしているので、事情がやや複雑になっている。