AT&TはHBO Maxのデータをカウントしない


AT&Tのワイヤレスサービスでは「HBO Max」のデータはカウントされない。

HBO MaxのiPhone用アプリ(App Storeより)

AT&Tは新しいビデオストリーミングサービス「HBO Max」を5月27日に開始した。既にAT&T TV、AT&T TV Now、WatchTV、HBO GO、HBO NOWといった多数のストリーミングサービスがあるにもかかわらずだ。

それぞれのサービスの内容や特徴などについては別の機会に譲ることにして、本題はHBO Maxでコンテンツを視聴している間のデータ使用量はAT&Tのワイヤレスサービスではカウントされないということだ。

AT&Tのワイヤレスサービスではデータはほとんどすべて無制限になっているので、データ使用量がカウントされてもされなくても関係なさそうに思えるが、実はワイヤレスサービスではデータが「無制限」となっていても、通常は月間の利用量に上限がある。

上限は料金プランによって異なり、たとえば「Unlimited Elite」プランでは100GB、「Unlimited Extra」プランでは50GBとなっている。1か月(ビリングサイクル)の期間内でその上限を超えるとその期間内はトラフィックの混雑時には速度が遅くなることがあるとされている。

よって、無制限プランといえどもデータ使用量がカウントされるかされないかは重要な問題だ。

AT&Tは「スポンサードデータ」というサービスを2014年初めから提供している。これはコンテンツの提供者がAT&Tにお金を払えばそのコンテンツの利用にかかるデータ使用量はAT&Tのワイヤレスサービス上ではカウントされないというもの。

これはHBO Maxだけでなく、他のサービスの提供事業者でもAT&Tにお金を払いさえすれば、同じようにデータがカウントされなくなるが、HBO MaxはAT&Tグループのサービスであるため自分にお金を払うことになり、実質的に無料で利用できることになる。

それに引き換え、NetflixやDisney+など、他社のサービスでデータをカウントされないようにするためにはAT&Tにお金を払わなければならないので、余計にコストがかかることになる。

すなわちAT&Tは自社のサービスを優遇することができることになる。他社から見れば不公平な扱いではあるが、「ネット中立性」のルールは2018年に撤廃されているので、そのような取り扱いが許されている。