YouTube TVが料金を値上げしたが、これには強い非難の声が多数寄せられている。

YouTube TVは6月30日、料金を「update(更新)」すると発表した。正直に「値上げ」と言わないところが消費者の怒りをさらに増幅させる。
新料金は月64.99ドルで、旧料金(49.99ドル)から15ドル、30%の大幅値上げとなる。新規加入者向けには即日実施、既存加入者向けには7月30日以降の課金日から適用される。
値上げを即日実施するというのも顧客フレンドリーでない印象が強く、感心しない。
2017年にサービスを開始したときの料金は35ドル。3年間で2倍近くになったことになる。今時こんなに値上げをするサービスが他にあるだろうか。
コロナ禍で多くの人が苦しんでいるときに、そして外出自粛でTVサービスの存在感が高まっているときに、むしろ値下げして顧客の負担を減らし、少しでも支援する姿勢を示してもよさそうなものだ。
この値上げに対して、9To5Googleは、「もううんざりだ」、「もう観るのは止める」などの声を伝えている。
VentureBeatは、顧客の声をこれほど完全に無視してサービスをぶち壊した事例は他にないとして、値上げの実施日を没年月日にしたYouTubeの墓を建てた画像を掲載している。
もっとも、Fast Companyのように、YouTubeを責めるべきではないとの声もある。悪いのはコンテンツを提供するTVネットワークやメディア会社だという主張だ。
YouTubeの発表によれば、今回の値上げの理由はコンテンツのコストが上昇していること。その代わり、視聴できるコンテンツが増え、ViacomCBS系列の多数のチャンネルが追加されたと説明している。
すなわち、今回はViacomCBSのコンテンツを追加したために料金を値上げせざるをえなくなった、ということになる。 値上げするくらいなら、コンテンツを追加しなければいいのに、と思った消費者は(筆者を含め)少なからずいたことだろう。
おそらくYouTubeもできれば値上げをしたくはなかっただろう。余計なコンテンツを追加して値上げせざるをえない状況を受け入れなければいけないほど、ViacomCBSの交渉力が強くなっていると考えられる。
ViacomとCBSは2019年8月に合併してViacomCBSとなった。これにより、人気チャンネルのCBSにそれほど人気のない多数のチャンネルをバンドルして法外なコンテンツ使用料を吹っかけることが可能になった。
たしかに悪いのは限りなく値上げを続けるコンテンツ提供会社だ。それはわかるけれども、消費者としてはYouTube TVを使わないことで抵抗するしかない。