Verizonの5GのCMに中止勧告


Verizonが流していた5GのCMに対して、広告審査局(NAD)が中止を勧告した。

Verizonの5Gサービスは今のところハイバンド周波数のみに依存しているため、提供地域が極めて限られている。ところがCMでは全国どこでも利用できるとの誤解を与えかねないところが問題視された。

たとえば、以下のCMでは、「マンハッタンのミッドタウンからデンバーのダウンタウンまで」5Gが利用できる、すなわちほぼ全国どこでも利用できるように聞こえないこともない。

 

Verizonとしては、そのようなどこでも利用できるような5Gを目指して現在鋭意構築中という趣旨であり、現状では必ずしも利用できない場所があるとの注意書きを必要に応じて記載しているので問題はないだろうという立場だろうが、そのような抗弁はNADには通用しなかったようだ。

さらにCMの中では速度についても「2ギガ近く出ている」などと述べているが、これも証拠となるテスト結果を示していないなどの理由で、そのような表現をやめるよう勧告している。

これに対してVerizonは、NADの決定について全面的には同意できないが勧告には従うとしている。

NADは基本的には苦情に基づいて広告内容を調査・審査する機関。ということは、今回も誰かが苦情を申し立てたものだ。苦情を申し立てるとすれば競争会社だろうと思ったら、案の定、今回はAT&Tが申し立てたものだった。

AT&Tは、先日、4Gを「5G Evolution」と称して5Gであるかのように見せかけて宣伝するのはやめるようにとNADから勧告されたばかり。そのときはT-Mobileが苦情を申し立てていた。

次は、VerizonがT-Mobileの広告について苦情を申し立てる番だ。

それはともかく、CMは宣伝が目的なので、どうしても誇張気味になりがちだ。とりわけ5Gに関しては現状があまりにも不十分なため、正直に伝えるわけにはいかないというのが実情だ。

参考までに、「もしVerizonの5GのCMが正直だったら」という動画も出回っているので紹介しておきたい。