米国における抗議活動の波はComcastにも押し寄せている。
米国各地で活発化している抗議活動は、どれも人種差別反対を訴えているのかと思ったら、そうでないものもあった。
ペンシルベニア州のフィラデルフィアで8月3日にComcastの本社前で行われたデモは、学校の先生や両親や活動家など、学校関係者によるものだった。抗議内容は、「すべての生徒にインターネットを!」というもの。
Comcast is based in Philadelphia, pays no property taxes, and refuses to open up hotspots for public school students in the city to learn remotely during a pandemic. The internet is a public utility. https://t.co/md53li4vmU
— whitney trettien (@whitneytrettien) August 3, 2020
フィラデルフィア学校区ではまもなくバーチャル授業による新学期が始まろうとしているが、いまだにインターネットが使えない家庭が多数ある。
12万5,000人の生徒のうち、インターネット環境のない生徒は2万1,500人にも上るという。
今年の春、コロナ禍の中でリモート授業が行われた際には、インターネットが使えなかったり遅かったりして授業が受けられなかった子供がたくさんいたことが問題になった。
デモでは「インターネットは不可欠」などのプラカードが掲げられた。
「Comcastにはタワーがあるが人民にはパワーがある(Comcast has a tower but the people have the power,)」と、なかなかうまいことも言っている。ここで言う「タワー」とは鉄塔ではなく高層の本社ビルのことだろう。
Comcastはこんな立派な本社ビルを持っているくせに、インターネットは遅いし高い、という住民の不満が積もり積もっているものと思われる。
学校の生徒全員にインターネットを無料で提供するよう要求するデモも別に計画されているという。
Comcastのお膝元でもこんな状態とは驚きだ。
ちなみに、カリフォルニア州の我が家はAT&Tのサービス地域だが、インターネットはいまだに最大5MbpsのDSLしか提供されていない。
幸い、競争事業者としてComcastが175Mbpsのケーブルインターネット「Xfinity」を提供しているので、何とかビデオ会議も使える状態であるが、ときどき速度が低下したりバッファリングが起こったりして、とても満足なインターネット環境とは言えない。
もしAT&Tのインターネットしか使えないとしたら、抗議活動が起こっても不思議ではない。