UberとLyftがサービス停止の危機


カリフォルニア州でUberとLyftがサービス停止の危機に瀕している。

サンフランシスコのカリフォルニア州上位裁判所が8月10日にUberとLyftのドライバーを請負人ではなく社員として扱うよう命じたことで、両社の同州でのサービスが営業停止となる危機に瀕している。

ただし、両社は控訴して引き続き争う姿勢を見せていると、CNNなどが報じている。

ライドシェアリング型の配車サービスや宅配サービスのドライバーが社員か請負人かの議論は以前からあり、州によって扱いが異なるが、カリフォルニア州では社員であるとの判決が出ていた。

今年の1月には原則としてドライバーは社員であるとし、請負人として扱う場合にはドライバーが会社のコントロール下にないことや、仕事の内容が会社の通常の業務の一環ではないことを立証しなければならないとする法律(AB-5)が施行されていた。

それに反して、相変わらずドライバーを請負人として扱ったまま業務を続けていたUberとLyftに対し、州の司法長官とサンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴの3市の法務官が共同で6月に提訴していたもの。

訴えによれば、両社はドライバーを社員扱いにしないことにより、最低賃金や残業時間の制限や病休や失業保険など、社員であれば受けられたはずの保護を受けられないようにしていたとされる。

これに対して、UberやLyftの側には、ドライバーを社員として扱っていたらコストがかかりすぎてビジネスが成り立たないという事情がある。大半のドライバーは独立の請負人として働くことを望んでいるとも反論している。

このコロナ禍で大変なときにサービスが営業停止になったらドライバーも困る。今やるべきことはサービスを停止させることではなく、雇用の創出に注力することだとも主張している。

両社の言い分はわからないでもない。本来はドライバーを守るための法律なのだが、そのためにドライバーの仕事がなくなってしまうという、おかしなことになっている。

もちろんコロナ禍でみんなが大変な状況にあることは裁判所もわかっている。外出制限で配車サービスの利用者は激減し、大半のドライバーは既に仕事を失っている。

だからこそ、ドライバーへの影響を最小限に食い止めることのできるこのタイミングこそ、ドライバーの扱いを変更する絶好の機会だ、というのが裁判所の考えだ。

裁判所の考えもわからないでもない。