T-Mobileの5G広告に中止勧告


T-Mobileの5G広告の一部について、広告審査局(NAD)が中止勧告を出した。

T-MobileのTwitterページより

T-Mobileは最近、同社の5Gが他社より優れていることを強調した表現で活発なマーケティングを展開しており、とりわけVerizonを攻撃対象として比較広告を打ったりツイートしたりしている。

これにNADが待ったをかけた。Verizonから申立を受けたNADは、8月25日、T-Mobileの広告等について、一部を除き、修正または中止するよう勧告した。

NADが問題視したのは「T-Mobileの5Gネットワークは他社の4Gや5Gよりも信頼性がある」という表現。カバレッジが広いことと信頼性が高いことは別問題だとした。一方「T-Mobileの5Gサービスは自社や他社の4Gより速い」という表現は問題なしとした。

また、5Gのカバレッジに関しても、「現時点でのT-Mobileの5Gサービスのカバレッジは他社よりも広い」と宣伝していることについては問題なしとしたが、T-Mobileの5Gサービスはこれまでセルラーサービスでカバーされていなかった場所まで含めて広くカバーしているという印象を与える宣伝については、中止するか、またはT-Mobileの5Gの典型的な状態でのカバレッジ実態について詳細・具体的に示すよう勧告した。

たとえば、T-Mobileは通常は電波が届かない地下室やエレベータ内でも5Gが普通に使えるような説明をしていた。ローバンド周波数は建物の壁などを通過することは確かだが、建物内のどこまで届くのかについては明確な証拠がないことが問題だ。

さらに、T-MobileがCMで、Verizonの5Gはバス停のベンチだけしかカバーせず、2フィート(60cm)移動すると圏外になってしまうと宣伝していることについても、Verizonの5Gがベンチだけしかカバーしていないという明確な証拠はないので、これを中止するよう勧告した。

T-Mobileはこれに対して争う姿勢を見せている。

先日はAT&Tからの申立でVerizonが5G広告の中止勧告を受けた。その前にはT-Mobileからの申立でAT&Tの「5G Evolution」の用語が使用中止となった。

誇大広告の問題はこれまでにもあったが、特に5Gに関しては問題が大きいように見受けられる。それだけ現状の5Gは理想と現実の乖離が大きいことの証左とも言える。