5G広告の中止勧告は続く


5G広告の中止勧告が相次いでいるが、Verizonがまた槍玉に上がった。

最近、NAD(広告審査局)による米キャリアの5G広告の中止勧告が相次いでいる。Verizonの広告に対しては7月に、AT&Tからの申立を受けたNADが中止勧告を出したばかりだ。

そのときに問題視されたのは、CMの中でVerizonの5Gが全国どこでも利用できるような印象を与えたことや、2ギガ近い速度が出ると宣伝していたこと。

今回の中止勧告はそれとは別のもので、5月にVerizonがNADからCMの中止勧告を受け、それに対してVerizonが上訴していた事案に関するものだ。

5月の中止勧告で問題視されたのは、以下のようなCMの中で使っている「Verizon is building the most powerful 5G experience for America.(Verizonはアメリカのために最も強力な5G体験を構築している。)」という宣伝文句。

AT&Tから申立を受けたNADは、Verizonが広告で主張している内容を裏付ける証拠がないとの理由で中止勧告を出した。

Verizonは勧告の理由の一部については納得できないとして、NADの上位機関であるNARB(広告審査委員会)に上訴した。

Verizonは反論の中で、この広告の意図はVerizonが5Gの構築のために数十億ドルを費やしていることを消費者に知らしめることであり、この広告によって消費者にはそのメッセージが正しく伝わっていると信じている、と述べている。

Verizonの上訴を受けて、NARBでさらに審査した結果、9月1日、この宣伝文句にはやはり問題があるとして中止を勧告した。問題視したのは「powerful(強力な)」という言葉。

具体的な説明なしに「most powerful(最も強力な)」と言ってしまうと、消費者に「何だかわからないけれど一番すごい」というメッセージが伝わってしまうのが問題だ。この言葉を使うからには、証拠を提示した上で何がすごいのかが具体的にわかるようにしなければならないと判断した。

Verizonの宣伝文句にはその証拠が提示されていないので、中止すべきと結論づけた。ただし、他社と比較した表現でなければ許容しうるとも付言した。すなわち、「最も」などの表現を含まなければ問題ないとの見解が示された。

NARBの判断に対して、Verizonは、「most powerful」の主張の裏付けがないと判断されたことには同意しかねるが、NARBの決定には従うこととし、「building a powerful 5G experience for America(アメリカのために1つの強力な5G体験を構築している)」と主張するのならば裏付けはあると判断されたことは喜ばしい、とも述べた。

5Gの「広告競争」はまだ続きそうだ。