米国の国家緊急事態とは

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米国では今、国家緊急事態宣言が発令中だ。それにしては、人々はあまり危機感を持っていないようだ。

トランプ大統領が11月12日に中国軍と関係のある企業への投資を禁じる大統領令に署名したことは、多くのメディアで報じられたので広く知れ渡っているが、同時に国家緊急事態を宣言したことはあまり報道されていない。

この大統領令により、米国民はHuaweiなど31社の企業に投資したり証券取引を行ったりすることが禁じられることになった。発効日は2021年1月11日。既に当該の証券等を保有している米国民は2021年11月11日までに売却することが求められる。

中国は「軍民融合」により民間企業に対し軍事力強化やスパイ活動への支援を強制している。その民間企業は米国において投資家から資本を調達している。すなわち、中国は米国の資本を利用して軍備の増強・近代化を図っている。これは、米国の国家安全保障上大きな脅威であるとして、国家緊急事態を宣言したもの。

国家緊急事態を宣言することにより、大統領には平時以上の強大な権限が与えられる。これに懸念を抱く向きもあろうが、今懸念すべきは、そのような緊急事態宣言を発令しなければならない何かが起こっている可能性があるということだ。

ところで、トランプ大統領は国家緊急事態宣言をたびたび出している。2018年9月には外国が米国の選挙に不当に介入する恐れがあり、これは国家安全保障と外交政策上の脅威であるとして、国家緊急事態を宣言する大統領令に署名している。中間選挙を前にして出されたものではあるが、まさに今回の大統領選の混乱も想定していたのかもしれない。

米国にとっての緊急事態は日本にとっても緊急事態であり、世界にとっての緊急事態でもある可能性があるのだが、こんなに危機感が薄くていいものだろうか。