Facebookが経済でも検閲強化


Facebookが個人投資家の言論を封殺するという暴挙に出た。

Facebookが「Robinhood Stock Traders」という個人投資家のディスカッショングループを一時閉鎖した、とReutersが報じた。

背景にはGameStopの株騒動があり、話せば長くなるのだが、簡単に言えば、GameStopの株を巡りヘッジファンドと個人投資家の戦いが繰り広げられていたところへ、Facebookがヘッジファンド側に加勢したということだ。

簡単すぎるかもしれないので少し補足しておくと、GameStopはビデオゲームのソフトを販売する大手の小売店。世界約5,500か所でモールなどに店舗を展開しているが、オンラインやダウンロードが主流になるにつれて実店舗によるビジネスの先行きが不透明になっている。

Robinhoodは個人投資家が少額でも取引できる株取引アプリ。このアプリを通じて株取引をしている個人投資家たちがRobinhood Stock Tradersだ。

将来のビジネスの見通しが暗いと見られているGameStopに、ヘッジファンドが空売りを仕掛けた。空売りは通常の取引とは違い、株価が下がれば下がるほど利益が大きくなるというもの。

ヘッジファンドの意向次第で株価を上げ下げできてしまうのだから、GameStopの経営者にとっては迷惑な話だ。同様にAMCやBlackBerryなども空売りのターゲットになっていた。

これに対し、日頃からヘッジファンドの横暴な振る舞いに不満を抱いていた個人投資家たちが、みんなで力を合わせてGameStop等の株価を押し上げてヘッジファンドの鼻を明かそうということになった。

以前ならば個々の個人投資家は非力でヘッジファンドにはとても歯が立たなかったが、最近はソーシャルメディアという強い武器がある。

FacebookやRedditなどのプラットフォームを利用して多数の個人投資家が情報を共有し、協調的な動きをすることで市場に大きな影響を与え、ヘッジファンドに対抗できる可能性が出てきている。

案の定、GameStopの株価は年初には19ドル程度だったのが、1月22日には65ドル、26日には147ドルを超えた。空売りしていたヘッジファンドは損切りして買い戻しをせざるをえず、株価はさらに高騰することとなり、翌27日には347ドルを超えた。

こんな狂乱が繰り広げられていた最中、Facebookが27日、「Robinhood Stock Traders」のディスカッショングループを突然閉鎖してしまった。これにより個人投資家の間の情報共有が困難になった。

グループの主催者のところにFacebookから届いた通知には、「性的なアダルトコンテンツが投稿された」との理由が示されていたが、詳細な情報はなし。

主催者やメンバーはそんなコンテンツは目にしておらず、心当たりはない。これは個人投資家にとって言論封殺以外の何者でもなく、不当な検閲だとして反発が強まっている。

Reutersがこれを報じてからこのディスカッショングループは復活したが、復活にあたってもFacebookからは何の説明もなかったという。その不透明性も問題だ。

このGameStopの株騒動で怪しげな動きをしているのはFacebookだけではない。株取引サイトを運営するRobinhoodは、株価が高騰した28日に取引制限を発動し、GameStopの株を買えないようにしてしまった。

これによりGameStopの株は売ることはできるが買うことはできないという状態になった。つまりそれ以上値上がりする可能性がなく、値下がりするしかないこととなった。これは一方的にヘッジファンド側に都合のいい不当な措置だとして批判の声が高まっており、訴訟に発展する動きもある。

さらに、この措置は大統領府からの圧力によるものだと、Robinhoodの社員が爆弾発言をしているとの情報もある。

まさに政治も経済も狂乱状態。おかしなゲームは早くストップしないと大変なことになる。