ロサンゼルスのレストランではテレビを観てはいけないとの御触れが出た。
カリフォルニア州で外出制限が一部解除されたのに伴い、ロサンゼルス郡は1月29日に新たなルールを導入した。
レストランでの食事については、これまで外出制限下で認められていた出前、持ち帰り、ドライブスルーに加えて、屋外に設置したテーブルでの飲食もできることになった。なお、屋内の飲食はまだできない。
ただしコロナの脅威はいまだなくなってはいないので感染防止のために最大限の対策を施すこととしている。その対策の中に、テレビを視聴してはいけないとのルールが含まれている。
テレビの視聴とコロナの感染がどう関係しているというのか。これは何かの間違いか冗談ではないのか。
FOXの司会者のショーン・ハニティ氏が「冗談ではない」とツイートしている。
Not a joke… https://t.co/xAc829NnIU
— Sean Hannity (@seanhannity) February 2, 2021
ロサンゼルス郡公衆衛生局が発出した命令によると、たしかに「番組放送に用いられるテレビやその他のスクリーンは撤去するか電源をオフにしなければならない」とある。
その理由は、Los Angeles Timesによると、テレビを視聴すると怒鳴ったり叫んだり悲鳴を上げたりする人がいるので、それが感染拡大につながるからだ。
相当の飛沫が飛ぶと想定しているようだが、本当にテレビを観ながらそんなに怒鳴ったり叫んだりする人がいるのかと疑問に思う人がいるかもしれない。
実は、本当にテレビを観ながら怒鳴ったり叫んだり悲鳴を上げたりする人はいる。さすがに悲鳴は滅多に聞かないが、叫ぶ人は多い。スポーツ番組で得点が入ったり勝敗が決したりした瞬間に、近所のあちらこちらから歓声が聞こえるというのは日常茶飯事だ。
2月7日には全米最大のスポーツイベント「スーパーボウル」が開催される。これを意識したものだ。「スーパーボウルがスーパースプレッダーになってしまったら目も当てられない」と公衆衛生局長が語っている。
スーパーボウルを観戦するためにレストランやバーなどに集まるのを防止するという狙いもある。「感染」を防ぐために「観戦」させないというわけだ。
ロサンゼルス郡の命令にはその他にもけっこう細かいルールがある。たとえば、
- レストランの従業員はフェイスカバーとフェイスシールドの両方を着けなければならない。
- 1つのテーブルに着席できるのは6人までで、全員が同じ世帯の人たちでなければならない。
- テーブルとテーブルの間隔は8フィート(2.4メートル)以上空けなければならない。
- 従業員は、咳やくしゃみをするときはティッシュで覆い、そのティッシュはゴミ箱に捨てて、すぐに石鹸とお湯で両手を20秒以上洗う。
- 客は入店の際にはマスクをしていなければならない。入店後も食事が運ばれるまではマスクをする。係の者が近づいたときはいつでもマスクをする。テーブルを離れるときはいつでもマスクをする。などなど。
これだけ細かいと、昔の日本ではお馴染みだった「食事中にしゃべってはいけない」というルールがあってもよさそうなものだが。
「黙食」はアメリカの文化には馴染まないようだ。