次期教育長官のおかしな問答


次期教育長官の承認に関する上院公聴会で、トランスジェンダーに関するおかしな問答が繰り返された。

新政権で次期教育長官に指名されたミゲル・カルドナ氏を承認するかどうかの上院公聴会が2月3日に行われた。

カルドナ氏はコネチカット州の教育委員を務めている。同州はトランスジェンダーの(女子と自認する)選手が女子のスポーツ競技に参加することを認めたことで物議を醸し、訴訟沙汰にもなっている。

2020年に教育省公民権局はコネチカット州に対し、生物学的な男子が女子のスポーツに参加することを許すことは教育改正法(タイトルIX)に基づく女子生徒の権利を侵害するものであるからやめるようにとの通達を出している。

これに関し、ランド・ポール上院議員がカルドナ氏に質問した。なお、同議員は「女子と自認するトランスジェンダーの生徒」のことを「男子」と呼んでいる。

ポール議員:もし就任したら、公民権局の通達を実行に移すのか。

カルドナ氏:多くの懸念があることは理解しているが、すべての生徒の公民権を守るのが私の責任であり栄誉である。それにはスポーツ活動も含まれる。

ポール議員:一般的な話として、コネチカット州のように男子が女子の陸上競技に参加することをどう思うか。

カルドナ氏:教育機関や教育者はトランスジェンダーを含めてすべての生徒の権利を尊重することが極めて重要だと思う。すべての生徒が活動に参加できるようにすべきだ。

ポール議員は、男子スポーツと女子スポーツではかなりの格差があり、生物学的な男子が女子スポーツに参加すると女子選手が完全にやられてしまい、女子の機会が奪われ、奨学金ももらえなくなってしまうと述べて、さらに続ける。

ポール議員:女子の陸上競技大会で男子に走らせることは心配ではないのか。

カルドナ氏:多くの懸念やフラストレーションがあることは理解している。課題として認識しているので、関係者と話をして…

ポール議員:女子の陸上競技大会で男子が走るのをフェアだと思うか。

カルドナ氏:適切だと思う。活動に参加する機会を生徒に提供するのは学校の法的義務だと思う。その生徒にはトランスジェンダーも含まれる。

ポール議員:ということは、女子の陸上競技大会で男子が走っても、女子の水泳大会で男子が泳いでも、その他どの競技でも、男子が女子と競争することは問題ないんだな。

カルドナ氏:既に答えたとおり、学校はすべての生徒に活動の機会を与えるべきだ。トランスジェンダーといえども。

ポール議員:私には大学でスポーツをしている姪がいて、州大会で優勝したこともあるが、身長160センチの彼女が身長185センチの男子と戦うことはとてもフェアだとは思えない。国民のほとんどが「bizarre(おかしい)」と感じると思う。男子が女子のスポーツチームで競技することが許されるのは間違っておりおかしい。これをおかしいと思わない方がおかしい。おかしいと思わない人たちは、いったりどこの星から来た人たちなのかと、圧倒的多数の国民が思っている。

公聴会では他にもいくつかのテーマについておかしな問答が繰り広げられが、このやりとりだけでも十分おかしい。ポール議員が同じ質問を何度も繰り返しているところに、「この人はおかしい」と感じている様子がありありとうかがえる。

それに対するカルドナ氏の返答が、質問されたことに直接答えず、大まかで曖昧な答弁を繰り返すのみ、というのは、洋の東西を問わず公務員の典型的なパターンだ。

カルドナ氏の個人的な信念はどうあれ、教育長官に就任した暁にはバイデン政権の方針に従って職務をまっとうする姿勢を表明したものだ。

バイデン氏が就任日に署名した大統領令の1つがLGBTQ差別を禁じるもので、学校では「biological sex(生物学的な性別)」ではなく「gender identity(本人が自認する性別)」に従ってスポーツに参加させるとの方針を早々に示している。

男子が女子の競技に参加することをおかしいと思わないどころか、それを最重要課題の1つとして推進しようとしている人たちがアメリカの政治や教育を担おうとしている。

それは「おかしい」と多くの人が声を上げている。