AppleのiPhone 5発表直後にT-MobileがiPhoneのプロモーションを開始した。T-MobileはアメリカではiPhoneを販売していないのに。
実はこれはiPhone持ち込み(BYOi)キャンペーンだ。SIMロックを解除したAT&TのiPhoneをT-Mobileに持ち込んで、T-MobileのSIMカードを挿して使うとひと月50ドル節約になるという触れ込み。iPhoneの名称と写真が使われ、T-Mobileの各ショップ内にはデモ用にiPhoneの実機が1台置かれた。
それが10月に入ってから突然「iPhone」が消えてしまった。T-Mobileのホームページでは「Bring Your OWN PHONE(自分のケータイを持ち込もう)」になっている。
ショップの前の看板は「Bring in your UNLOCKED AT&T SMARTPHONE(SIMロック解除したAT&Tのスマートフォンを持ち込もう)」になっている。
看板の中の写真もGalaxy S Ⅱと思しきAndroidスマホに変わっている。せっかくのBYOiが単なるBYODになってしまった。
この変更の理由について、T-Mobileの非公式ブログ、TmoNewsでは、「なぜかはわからないが、T-Mobileの自主的判断か、Appleの法務からいちゃもんがついたか、そのどちらでもないかのどれかだろう」というような分析をして、「あなたならどう思う?」と読者に問いかける。
その後、TmoNewsはT-Mobileから確認の回答が来たと紹介。それによれば、変更の理由は「natural progression(自然の成り行き)」という実に曖昧な回答。しかも始めから「iPhone」を使うのは9月だけの予定だったとの説明も紹介。ただしショップ内のデモ用のiPhoneはそのまま置かれるとのこと。これは怪しい。何か隠していそうな回答だ。
そしてTmoNewsはまた読者に問いかける。「あなたならどう思う? AppleがT-Mobileにプレッシャーをかけたと思う? それとも本当に自然の成り行きだと思う?」
T-MobileはAppleの承諾なしにiPhoneの名称や写真を使っているので、Appleから文句が出てもおかしくはないが、これもApple対Samsungの特許訴訟でGalaxy Nexusの販売差止が破棄されたときと同様、Appleに損害があるかと言えば、ほとんどないと言ってもいい。むしろT-MobileがAppleに代わってiPhoneのプロモーションをやってくれていると考えられなくもない。Appleとしては放っておいても構わない話ではないか。
それでは、T-MobileのiPhoneプロモーションで損害を受ける可能性があるのは誰か。それはAT&Tであることは一目瞭然。T-Mobileは明確にAT&Tのスマホを持っているユーザーをターゲットにして、BYODキャンペーンを仕掛けているのだから。
だから、T-MobileにいちゃもんをつけるとしたらAT&Tが一番怪しい。ところがT-Mobileのショップ前の新しい看板が「AT&Tのスマートフォンを持ち込もう」と、AT&TにとってはiPhoneのときと何ら状況は変わらない内容になっていることから、AT&Tがいちゃもんをつけたわけではなさそうだ。とすると一体誰が・・・
いろいろ考えたら、やはり「自然の成り行き」というのが真相に思えてきた。
「あなたならどう思う?」
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