黒い羊が代替肉のラムを提供


「黒い羊」が植物由来の代替肉を提供する。

最近「羊」がブームなのか。「電気羊」に続いて今度は「黒い羊」のトピック。未(ひつじ)年でもないのになぜか羊の話題が多い。

サンフランシスコのスタートアップ「Black Sheep Foods」がシードファンディングで525万ドルの資金調達に成功した、とTechCrunchなどが報じた。

植物由来の代替肉を開発し、レストランなどに提供する。それもビーフなどの主流のものではなく、子羊(ラム)や野生動物の肉(いわゆる「ジビエ」というやつか)を手掛けるという。

Black Sheepのホームページより

代替肉は味がどうなのかとの不安があるが、同社は口(舌)で感じる味の他に、鼻で感じる味(香り)までも再現し、本物以上の味、最高の味の提供を目指す。

それにしても、何でまた「黒い羊」を社名にしたのだろうか。

「黒い羊(Black Sheep)」と聞いて思い浮かべるものやイメージは人によってさまざまだろう。人によっては「欅坂46」かもしれないし、「米津玄師」かもしれない。

除け者、厄介者、身勝手、強情などの否定的なイメージもあれば、個性的、同調圧力に屈しない強さなどの肯定的なイメージもある。

日本と比べて個性を重視する傾向の強い欧米でさえも「Black Sheep」はどちらかと言えば否定的なイメージが強い。同社はあえてそれを社名にして、独自のビジネス展開を図るつもりのようだ。

群れの中に紛れるよりも、目立つことを選ぶ。代替肉と言えばビーフだろう、と大方の人が思っているところで、ラムを提供する。他社がやらないことをするところにビジネスチャンスがあると捉えているのだろう。

同社によれば本物のラム肉を提供することは、他のどの肉よりも地球に優しくないのだそうだ。水はたくさん使うし、広い土地も必要だし、環境保全の観点からも問題が多い。

よってラムを代替肉に置き換えることで、地球への優しさでも貢献できるというわけだ。ただし、代替肉でラムを再現するのも生優しいものではない。まして本物以上に美味しいものを提供しようというのだから、その労苦たるや並大抵のものではないだろう。

同社はあえてハードルを上げて(raising the bar)これに取り組もうとしている。

ちなみに、羊の鳴き声は日本語では「めえー」だが、英語では「baa」だ。さらに「raise」には「上げる」の他に「家畜を育てる」の意味もある。

同社のビジネスはまさに「raising the baa」だ。