「会社」を車に乗せた人がいる


法律上、会社が人と同じように扱われる場合がある。「法人格」というものだ。これを利用して、「会社」を車に乗せた人がいる。

サンノゼ・マーキュリー紙によれば、サンフランシスコ近郊に住むジョナサン・フリーマンさんは、2人以上乗っている車でないと走ってはいけないカープール車線を1人で乗って捕まってしまった。ところがフリーマンさんは無罪を主張。その理由は、助手席には「会社」が乗っていたので2人だったというもの。

その根拠は、カリフォルニア州車両法第470条に、「人」には自然人だけでなく会社も含まれると明記されているからだ。フリーマンさんは助手席に会社の定款などの設立書類を乗せて、会社が車に乗っていた証拠にした。弁護士を立てて徹底的に争う姿勢だ。

こんな論理が成り立つのかどうか疑問だ。会社はあくまでも制度上の存在で、何でも人と同じというわけにはいかない。こんなことで会社が人として扱われるはずがない。そもそも乗っていたのは会社の設立を示す書類であって、会社そのものではないのではないか。会社が車に乗れるわけがないではないか。

1月7日に本件の交通審判が行われた。結果はやはり「有罪」だが、その理由は少し意外なものだ。オークランド・プレス紙によると、審判員は、フリーマンさんの論理を「斬新な主張」と評しながらも、道路交通法がカープール車線を設けている目的は、走行する車の台数を減らして混雑を緩和することにあるが、当該行為は混雑緩和にはつながらないので有罪、と判断したということだ。

本件に関しては会社を人として扱うかどうかではなく、法律の目的に合致しているかどうかで判断されたところが興味深い。何だか本質ではないところで議論しているような気がしないでもないが、このような論理でないとフリーマンさんの主張を論破できないのか、またはこの論理が一番単純明快で論破しやすいのだろうか。

もちろんフリーマンさんは控訴するようだ。

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