桜の季節にはまだ少し早い。周囲の木々はまだ咲きそうな気配を見せていないのに、一本だけ開花した桜の木がある。それも八重桜だ。
実は、この木は今年初めにクリスマスツリーの処分用に置かれた大型のゴミ箱の隣に立っていたものだ。誰かが火をつけたらしく、ゴミ箱の中のクリスマスツリーが全部焼けてしまい、そのとばっちりを受けて隣に立っていたこの木も黒焦げになってしまっていた。
その桜の木が再生を果たした。ゴミ箱のあった車道側は枝が切り落とされたりして、まだ無惨な面影が多少残っているものの、歩道側は見事に復活している。焼かれたことで暖められて開花の時機が早まったものだろう。
苦難を跳ね飛ばし、ハンディキャップを物ともせずに、他のどの木よりも先に開花を遂げたこの八重桜に拍手を送りたい。
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