Appleが9月10日に発表したiPhone 5s/5cはNFC対応ではなかった。これはNFC業界にとっては痛手だ。
iPhone 5sには指紋認証とNFCを合体させたホームボタンが搭載されるのではないかと期待されていた。ふたを開けてみたらホームボタンには指紋認証しか搭載されていなかった。

NFC Worldは、Appleが「Touch ID」にNFCを合体させた装置の特許を申請しているので、いずれ将来的にはNFCが導入される可能性があるとの希望を持ちつつ、大手のスマホメーカーでNFCを搭載していないのはAppleだけだと揶揄している。
一方、Computerworldは、新iPhoneにNFCが搭載されなかったのは驚きではないとしながら、Google WalletやISISにとっては厳しい事態だとするアナリストの見方を紹介している。
たとえばTechnology Business ResearchのEzra Gottheil氏は、「NFCモバイルウォレットは日本以外では死に体だ。普及の芽はない」との見解を示し、業界はQRコードを読み取る方式かWi-Fiを使う方式に移行していくのではないかと述べている。
Yankee GroupのJordan McKee氏も、Appleの今回の決定は「QRリーダーのオプションのないNFCモバイルウォレットにとってはバリケード」になるだろうと述べている。同氏はいずれNFCにも追い風が吹くだろうが時間がかかると見ており、 今回iPhoneに採用されなかったのはNFCにとっては痛手だと述べる。また、AppleはNFCにビジネスチャンスを見いだしていなかったことは明らかだと付言する。
また、J.Gold AssociatesのJack Gold氏は、ISISとGoogle WalletのどちらもAppleにとっては人気がイマイチで、さらに重要なことは、NFCをiPhoneに追加すればAppleにとってお金になるといういい方法が示されていないと指摘する。
さらに、GartnerのCarolina Milanesi氏は、AppleがいずれNFCをサポートするとの見方だが、それはiPhoneが他のOSの端末との間でデータを共有できるユニバーサルワイヤレス技術としてNFCの存在を無視できないだろうとの立場だ。
なかなかモバイルウォレットとしてのNFCの将来が明るいとの見解が出てこないが、今のところ唯一の望みの綱と言えるのは、加盟店がクレジットカード認証端末を2015年10月1日までにEMV/NFC対応にしないといけないことになっているということだ。
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