PayPalがモバイルウォレットのアプリを大幅に刷新した。が、評判はあまり良くない。
これまでのアプリでは送金・請求や、購入履歴の閲覧など口座の管理ができる程度だったのが、今回の刷新により、クレジットカードを収納できる、近所のお店の安売り・特典情報を探すことができる、お店でPayPalを使って支払いをすることができる、レストランで事前に注文をして支払いもできるなど、多彩な使い方が可能になった。
単に支払うという行為だけでなく、その前後を含めたトータルのショッピング体験の充実化を図ったものだ。アプリを起動すると、パスワードを入力するといった無粋な画面ではなく、PayPalで支払いのできる近所のお店やビジネスのリストを表示してユーザーを出迎えてくれる。

今のところ最も進んでいる本格的なデジタルウォレットかもしれない。唯一の弱点は、クレジットカードのようにスワイプするだけという単純明快さが欠けていること。これはモバイルペイメントのすべてのアプリに共通の弱点だ。
The Vergeは、PayPalの新しいアプリについて、「強力だが不可解」と否定的な評価だ。用途によってユーザーインターフェースが統一されておらず、どうすればいいのかわかりにくい。
ナビゲーションバーには「Wallet」、「Activity」、「Transfer」、「Settings」という4つのタブがあるのだが、どのタブでどんなことができるのかがよくわからない。たとえばレストランで支払いをするときにどのタブを選べばいいのかがわかりにくい。直感的に使いこなすことが難しいのだ。
いろいろなことができ過ぎるということも、わかりにくくしている原因のひとつだ。投資家で以前Twitterの役員も務めたSatya Patel氏がブログで、アプリが成功する秘訣はひとつのことが素晴らしく上手にできること、と述べている。WhatsApp、Instagram、Shazamはその好例で、目的がひとつで単純明快で簡単に利用できて多くの人を満足させたことが成功の理由だとしている。
PayPalの新アプリはいろいろなことができて時代の先取りをしている。モバイルウォレットでこんなことができるといいなということは、ほとんど全部できる。ただ、これが簡単に使えない限り普及はしない。ユーザーはプラスチックのカードを使い続けることだろう。
モバイルウォレットがなかなか普及しないのは、こんなところに理由があるのかもしれない。
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