電話をなるべく使わせないようにする電話機って、いったい何だ。

Kickstarterで資金調達を開始したLight Phoneは、クレジットカード大で見かけは完全に電卓だが、電卓の機能はない。音楽プレーヤにもなりそうだが、その機能もない。何かのリモコンのようにも見えるが、何も遠隔操作はできない。
何を隠そう、これは電話機だ。基本的には電話しかできない。時計と短縮ダイヤルがわずかながらの付加機能だ。価格は1台100ドル。
主として既存の電話機とペアで使う。既存の電話機は家に置いたままにして、大事な通話だけ転送して外出中でも受けられるようにすることができる。GSM回線を使って単独でも通話ができ、独立した電話番号も持っている。
既存の電話機は持ち歩くと落としたり傷ついたり紛失したりする恐れがあるので、大事に家にしまっておきたいというときには役に立つ。
驚くことにこの電話機は、なるべく使わないようにするようデザインされているという。機能は限られているし、クレジットカード大なので、財布の中にしまっておけば取り出すのは面倒だから、なるべく使わないようになるというわけか。
ただ、なるべく使わせたくないというのなら、非常に使いにくいものにすればいいのに、その割には「短縮ダイヤルがとてもいい」と使いやすさを宣伝している。
既存の電話機を自宅に置いたままにする使い方を一番に宣伝しておきながら、バッテリーは20日間持つのでバックアップとして最適と宣伝して、既存の電話機と一緒に持ち歩く使い方を推奨している。
もっと機能やメリットを増やせば魅力的なものになるかもしれない。たとえば、ガレキの下敷きになっても使えるよう防水・防塵性や耐久性を強化して、GPSで居場所がわかるようにして、非常用のアラーム音も鳴らせるようにして、異常時には自動的に関係者に電話が発信されるようにすれば、災害時などの頼もしい備えになるだろうに。
ただ、なるべく使わせないようにするということなので、あまり魅力的になってもまずいのかもしれない。
TechCrunchによれば、この電話機の開発者の真意は、世の中スマホでつながって便利になりすぎて、却って幸せを見失っている。たまにはスマホのない生活をして、生きているだけでも幸せ、という感覚を取り戻してみたら、という提案のように取れるが、あまりピンとこない。
何とも逆説的な電話機だ。