水のボトルがスマートになっても


スマートな飲料水用携帯ボトルが登場した。水を飲む時間になると知らせてくれるというが、あまり共感できない。

Hidrate, Inc.が開発したHidrateMeというボトル。710 mlのプラスチック製で、内部にスティック状のセンサーが入っている。

KickstarterのHidrateMeプロジェクトページより
KickstarterのHidrateMeプロジェクトページより

Bluetoothでスマホに接続し、アプリと連動する。アプリで年齢、性別、身長、体重などを入力すると、1日にどれだけ水を飲めばいいかをアプリが計算して教えてくれる。

センサーでユーザがどのくらい水を飲んだかを検知し、水を飲む時間になるとボトルの中心部が光って知らせてくれる。スマホにも「飲む時間だよ」と通知してくれる。

現在Kickstarterで資金調達プロジェクトを実施している。目標額は35,000ドルのところ、後39日も残して既に10万ドルを超えている。人気は上々のようだ。

しかし何だか共感できない。明らかにターゲットユーザに自分は入っていないという感じ。この疎外感に加えて、水を飲む量やタイミングが適切かどうかも疑問だ。

このボトルで飲んだ水しか計算に入っていない。他の手段で飲んだ水や、お茶やコーヒーや、他の食べ物に含まれている水分を摂取した量は計算されない。

それに、どれだけ水を飲んだかの他に、体がどれだけ水分を消費したかも大事な情報だろうが、センサーではボトルで飲んだ水の量はわかるが消費した量は把握できないはずだ。

したがって、今水を飲む時間だよと言われても、それが必ずしも適切でない可能性がある。結局は喉が乾いたときに飲むのが最適なのではないかという気もする。

Kickstarterのプロジェクトページにある開発者の説明によると、これを開発した理由は、「水を正しく飲むことは大事なことなのに、多くの人が忘れてしまうから」だという。薬を飲むのは忘れても水を飲むのは忘れないだろう。

さらに、「我々はどこへ行くにも水のボトルを持って行くので、オフィスからジムに持って行きやすいデザインにした」との説明もあるが、どこへ行くにも水のボトルを持って行かない人もいるし、オフィスからジムに行かない人もいる。

どうやらこのボトルのターゲットユーザは、どこへ行くにも水のボトルを持って行く人で、オフィスからジムに行くのを日課にしている人らしい。疎外感を感じるはずだ。

TIMEGAWKERも「最悪のKickstarterプロジェクト」と酷評している。

それにしては、支援者と資金が結構集まっている。ターゲットユーザにぴたりと当てはまる人も結構いるようだ。

その他の大多数の人たちにとっては、水のボトルがスマートになってもあまり意味がない。ボトルはスマートでなくてもいいから、飲んだ人がスマートになるような水を開発してくれないものか。