AT&Tがモバイル向けの新たな骨伝導技術の特許を申請している。
骨伝導と言えば、10数年前に出たツーカーの携帯電話(TS41)が思い起こされる。耳の不自由な人でも聞こえ、騒音の中でも聞こえやすいというメリットで売り出したが、自然消滅してしまった。
最近ではGoogle Glassにも骨伝導スピーカーが採用されたが、これもGlass自体の開発が打ち切られてしまったので、日の目を見ることはなくなった。
AT&Tが開発している骨伝導技術はちょっと違う。単に骨を通じて音声を聞くためのものではない。人体をデータ伝送の媒体として使おうというものだ。
Atlanta Business Journalによれば、4月からこれまでにAT&Tの骨伝導技術に関する7件の特許申請が公開された。
4月2日に公開された特許申請書に記載された実施の形態によると、ユーザが2台の端末に触れている場合に、一方の端末からユーザの人体を通じて他方の端末にデータが送られる。

もう1つの形態としては、ユーザAが端末1に触れ、ユーザBが端末2に触れ、ユーザAとユーザBが触れている場合に、端末1から端末2に両ユーザの人体を通じてデータが送られるというものもある。
また別の形態としては、認証装置から人体にデータを送り、そのデータをまた認証装置に戻すことで、ユニークな人体署名が可能になり、これで人や場所や物へのアクセスをコントロールするというものもある。
しかもデータは骨だけではなく皮膚を通じても伝送されるという。骨だけよりも骨と皮膚を組み合わせることで、より高速の伝送が可能になるという。
さらに4月30日に公開された特許申請書によると、ボディランゲージを骨伝導で認識する技術も開発しているらしい。ユーザが端末に触れなくてもジェスチャーでシステムにインプットすることができる。
何やらただ事でない技術開発が進んでいるような気配。