ニューヨークでUberに暗雲


ニューヨークでUberなどのライドシェア型交通サービスに暗雲が立ち込めている。市議会で車両増加を制限する条例案が審議されている。

ニューヨークでは、Uberなどのライドシェア型サービスが増えて、交通混雑、大気汚染、騒音などの悪影響が懸念されている。

ニューヨーク市のタクシー・リムジン委員会がその影響について調査を行う旨の条例案と、その調査が完了するまで、または2016年8月31日のどちらか早い方の時点まで、運送用車両(FHV: For Hire Vehicle)を運転するための新規許可証の発行数を一時的に制限する旨の条例案が6月26日に市議会に上程された。

制限を受けるのはライドシェア型サービスだけでなく、既存のハイヤー会社なども同様だが、事実上影響を受けるのは急速にドライバーを増やしているライドシェア型サービスだ。

条例案によると、向こう1年間の新規許可証の発行数は、車両数が6月15日時点で500台以上の事業者は同時点の車両数の1%、20台から499台までの事業者は同5%、19台以下の事業者は同15%に制限される。

TechCrunchによると、ニューヨークではUberのアクティブ車両数は約26,000台なので、200台程度しか増やすことができない。1年間に10,000台増やそうとしていたUberにとっては、計画が大幅に狂ってしまう。Uberのドライバーとして生計を立てようとしていた人にとっても深刻な問題だ。

Uberよりもずっと市場シェアの小さいLyftはもっと深刻だ。Uberよりも車両の母数がずっと少ないのにUberと同じ扱いをされてはかなわない。ちなみにUberの市場シェアは90%、Lyftのシェアは7%程度とのことだ。

この条例成立を阻止すべく、公聴会が行われた6月30日にUberなどの関係者や支持者らが市庁舎前でデモを行った。デモへの参加者はカープール型のUberPOOLが往復無料で利用できたそうだ。

ニューヨーク市庁舎前でのデモ(Uber NYCのTwitterページより)
ニューヨーク市庁舎前でのデモ(Uber NYCのTwitterページより)

一方、条例案に賛成するタクシードライバーたちも10人程度デモに参加したそうだが、Uber側の支持者は検問を通過して市庁舎の階段まで行けたのに対し、タクシードライバーたちは敷地の中に入れなかったそうだ。

どちらの陣営でも生活がかかっている人たちにとっては深刻な問題だ。