不思議な出来事


アメリカに住んでいると、ときどき不思議な出来事に遭遇する。未確認物体に遭遇したりもする。

以前、AmazonFreshで食料品を注文したら、指定日時に届かず、カスタマーサービスに連絡したらAmazon側の記録では配達されたことになっていたということがあった。おそらく間違って別の場所に配達され、受け取った人は「ラッキー」と言って食べてしまったに違いない。

今回は、ちょうどその反対のようなことが起こった。外出先から帰宅すると、注文していないのに食料品などが入った紙袋が二つ、玄関前に置いてあった。

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未確認の飛行物体ならUFOと呼べるが、未確認の玄関前の物体を何と呼べばいいのか。とりあえずUDO(Unidentified Doorstep Object)と呼ぶことにしよう。

このUDOの中味はバナナ、梨、サラダ用の野菜、玉子、ソフトドリンク、ピタ(パンの一種)、ドレッシング、台所用洗剤など、日常の買い物の品々だ。宇宙から飛んできたものではなさそうだ。

ネット通販で注文したものであれば、中に伝票が入っていたり、外側に宛名のラベルが貼ってあったりするはずだが、そんなものは一切ない。

察するにこれはネット通販で注文したものではなく、誰かがスーパーで買い物をして、間違えてうちの玄関前に置いて行ったものに違いない。

自分の家なら間違えないだろうから、人に頼まれて買い物をして届けてあげたのだろう。似たような部屋番号はあるので、間違えてもおかしくはない。間違いに気づいて、後で取りに来るかもしれないので、その日はそのまま一晩玄関前に放置しておいた。

ところが、朝になってもそのUDOはまだあった。なぜ取りに来ない。どこに置いたのか忘れたのか。間違えたことさえ気づいていないのか。

とにかくそのまま放置しておくと傷むものもあるだろうし、見た目も不自然だから、何とかしないといけない。

「ラッキー」と言って、いただいてしまうというのも手だが、毒が入っているかもしれず、どんな訳ありなのかもわからないので、気持ちが悪い。

それにこんなことで数少ない運を使ってしまうのももったいない。そうかと言って捨てるのももったいない。食べ物を捨てると目が潰れるような気もする。

さんざん迷った末、アパートの管理オフィスにUDOを持ち込んで事情を説明した。たとえば似たような部屋番号の住人に聞いてみてはどうだろうと提案してみた。

オフィスのスタッフは提案を黙殺し、「好きなものを取って、あとは捨てればいいじゃん」と軽く言い放つ。何を悩んでいるんだという感じ。これがアメリカ人のやり方なのか。

こんなことで悩むのは日本人くらいなのか。好きなものを取れと言うが、正直言ってバナナなどは好きだが、取る気にはなれない。「どれもいらない」と言ってスタッフに処理を任せた。

その後のUDOの処遇については明らかではない。

それにしても不思議な出来事もあるものだ。