通勤バスのスタートアップで唯一生き残ったChariot


通勤客をターゲットにしたバスサービスのスタートアップのうち、現時点で唯一生き残っているのがChariotだ。

ChariotのFacebookページより
ChariotのFacebookページより

TechCrunchによれば、1年半位前、サンフランシスコにはバスサービスを手がけるスタートアップが3つあった。

まずはLeap Transit。これは大型バスを改良して、少し豪華な感じの内装にして、仕事もできるようにデスクやWi-Fiなども完備して、Blue Bottleのコーヒーも用意して、有料だが食べ物も用意して、快適に通勤ができるようにしたもの。

次にNightschool。これは現役のスクールバスを借用する。地下鉄(BART)の終電後の深夜時間帯に、サンフランシスコと対岸のイーストベイの間を走ってくれる。遊休資産の活用にもなる。

そしてChariot。これは飾り気のないバンだが、ドライバーを請負ではなく社員として雇い、営業車用の保険も完備し、駐車場も確保するなど、やるべきことをきちんとやった。

そのうち、今でも健在なのはChariotだけ。それも1か月に延べ4万人が利用するほどの人気振りだ。他の2社は、法律上の問題があったりして、結局サービスを終了しまった。

Chariotの創業者によると、同社が生き残った秘訣は、運行初日から「公明正大」を貫いたことだそうだ。やるべきことをきちんとやることが大切だ。

消費者が望んでいるものを提供することも大切だ。Chariotは消費者のフィードバックを考慮して運行ルートの設定・変更を柔軟に行う。候補のルートがあれば、運行するかどうかをクラウドファンディングで決める。

運行を希望する人は、クラウドファンディングで事前にそのルートの回数券や定期券を申し込む。申し込みが一定数に達したら申込者のクレジットカードに課金して、そのルートの運行を開始する。これは消費者の希望が反映できるし、Chariotにとってもリスクの少ないやり方だ。

Chariotのクラウドファンディングのページには、Chariotと他社のメリット・デメリットを比較するマトリックスがある。それによれば、値段が高くて速いのがUber、安くて遅いのが公共バスのMUNI、安くて速いのがChariotということになる。

Chariotのクラウドファンディングのページより
Chariotのクラウドファンディングのページより

ところで、このマトリックスで高くて遅いとされているのは、「マノロ・ブラニク」。これは英国の高級な靴のブランドだ。たしかに、これを履いて歩くと、高くて遅い。